短 篇 詰 め 。【∞】

・・ ページ16

｢なに初歩的なミス連発しとんねんドアホ！｣


｢すみませんっ...！｣


毎度毎度もの凄い剣幕で来るもんだから心臓に悪い。


｢これ直してから帰りぃ｣

と言って、ぽん、と私の頭の上に書類を置く。


...なんか優しいから憎みきれないんだよなぁ...



｢はぁ...｣

終わったぁ、という声と共に漏れた溜息。


村上さんは別の部屋で書類仕事をしていたから、

邪魔をするまい、と思って急いで支度をする。


外に出ると、ザーザー雨が降っていた。

...私の、ココロの中みたいだった。


そう思うともうなにもかもどうでもよくなって、

目からしょっぱい何かも流れてきて。


なんだよ、こんな雨、私にお似合いじゃんか。


泣いてるのだって雨で隠れるから、と帰路に踏み出した。


雨が、悔しいのも恥ずかしいのも情けないのも、

全部流してくれたらいいのに、って。


少し、降り方が弱くなってきた。


雨が止む前には、変われると思うから。

だから、もう少し待って。


こんなはずじゃなかった とか、言いたくないから。



まだ涙は止まらなくて、息がひゅうひゅう言ってる。


明日は、風邪かもなぁ


そんなことを思っていたら

｢...何してん｣

っていう村上さんの声がして、


涙が雨と混じらなくなった。

・・・→←crying march feat:Shingo-M

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す