短 篇 詰 め 。【∞】

Band girls spiral days feat:Ryo-N ページ12

高2の、夏。


1年後輩の柴崎が文化祭に向けて

バンドを組んだらしい。


あ、なんで知っとるかって？

...中学の頃から、柴崎のことが好きやから。


軽音部の後輩やってん。楽器も、同じ。ギターやった。


何をしてても何を見てても興味なさげやった柴崎は、

ギターをかき鳴らして、

音に声を乗せて、

詞に色をつけて、

...音楽に触れているときだけは、目がキラキラしとって。


ほんまに吸い込まれてまうんやないかって。


めっちゃくちゃ惹かれて。


その日から俺は露骨に柴崎の隣をキープしとった。


音楽以外に興味のない柴崎が

それを気にすることも無かったけれど。


1回だけ、柴崎が俺に、

｢...錦戸先輩、なんでいつも隣におるんですか｣

って訊いてきたことがある。


どうせ気付かんやろと思って

｢...んー、色々気になんねん、お前んこと｣

って返した。


にっぶい柴崎は想像の通り気付かず。


｢...メルアドとかなら、教えますよ｣


...そのひとことで俺がどれだけ嬉しくなったかも、

きっと気付くどころか感付くこともあらへんのやろうな。

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