短 篇 詰 め 。【∞】

・・ ページ11

章大が仕事に行ってから少し楽になって起き上がると、

ベッド横に置いてる椅子に

ポカリとすりおろした林檎、それに薬もあった。


『 Aへ

少しでも食べて、クスリ飲んでな？

夕方くらいには帰ります。

章大 』

なんていう 可愛らしい置き手紙と一緒に。


相っ変わらず可愛い字だなーとか、

クスリってカタカナで書いたら

覚せい剤とかの危険ドラッグっぽい...とか、

ウチに林檎なんてあったっけ、とか

置き手紙とか章大っぽいなーとか。


いろんな思いがこみ上げてくる。


こんなどうでもいいこと考えちゃうのは

きっと章大のお花畑がうつったんだろうな、

なんてまたどうでもいいことを考えた。



さっそく、章大が置いていってくれた

ポカリとすりおろした林檎をありがたく頂いた。


｢あっ｣

ポカリと林檎って合わない。


なんか苦い。

けど、そのチョイスをした章大に

愛しさがこみ上げてきて。


ああ、すきだなぁって。


どうでもよくはないけど改めて思った。






｢...あ、おはよぉ｣

にへら、と章大が笑った、



夢を見た。

起きたら、もう章大は帰ってきていた。


あれ、私薬飲んだっけ。


｢...なぁ...A、薬、飲んでへんの？｣


...安田さん。笑顔が怖いです。


｢...忘れちゃった...｣

てへぺろ。許して。


｢...はよ飲んで、｣

っていつもより低めの声で言って、

水の入ったコップと薬を差し出してきた。


ぷは、と薬を飲みきって章大を見ると、

それはもうにっこにこで。


｢...怒ってる？｣


まぁ怒ってるんだろうけど。


怖い。


すると章大はニヤァって口角を上げて、


｢お仕置き、せなな？


...治ったら、クチビル腫れるまでちゅーしたるわ｣


って。


きっと、章大は私がそれで

キュンとしちゃうのをわかってるんだ。


パタンって扉を閉めて、章大がリビングに戻る。


すっごい恥ずかしくなって、布団に潜り込んで。


治ったら、って言われたキスに期待をしつつ

眠りに落ちた。






Fin.

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