サラダにトマトを添えて (ページ1)

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□私を攫った王子様＃1 ページ1

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高校の行事といえば、なにがあるだろう。

大抵は、修学旅行か文化祭、体育祭を思い浮かべる。かくいう私も、その三つくらいしか出てこない。

今日、その体育祭が始まった。

『もっと食べたかったなぁ』

「さすが、食い意地までもが一位だな」

『喧嘩売ってる？』

私が出た競技は、パン食い競走。今どきの体育祭でまさかやるとは思わなかった。

私は特に出たい競技はなく、パンが食べれるからという理由だけでこの競技を選んだ。だってタダでパンが食べられるって中々ないからね！

そんな私は、目にも止まらぬ速さ(嘘)でパンをかっさらった。堂々たる一位である。

他に私が出場するのはリレー。隣に座る親友曰く、私の取り柄は足の速さとコミュ力と食い意地らしい。最後のはよく分からんけど。

その三つの中の二つを体育祭で発揮出来ることに楽しさはあるが、目標であるパンを食べることが出来たため最早体育祭など半分どうでもよくなっている。

『次なんの競技だっけ』

「たしか、か」

「「「キャアアアアアアアアア」」」

『ん？なんて？』

謎の歓声に掻き消された親友の声。ごめん、かしか聞き取れなかった。

もう一回言ってもらうと、親友は借り物競争と答えた。はて、なぜ借り物競争で歓声があがるのだろうか。んー、あれは歓声ではなく悲鳴で、もしかしたら動物が出現したのかもしれない。うんうん、………んなわけないか。

『元気でいいねぇ』

「あれ、そういえばこの競技……」

『え、なになに』

少し考え込む親友は、なにかを思い出したらしく急に興奮し始めた。えぇ、こわい。

「これ、先輩でるんだよ！！！」

『ほぉ、……だれ？』

「京本先輩！！」

『京本………あぁ、あのかっこいい人ね』

そういえばその先輩を見つけるたびに親友は興奮していたなぁと思い出す。私も何度か見かけたことがある。

金髪に白い肌、細めの線で背は高め。こりゃイケメンだと思った記憶がある。

この黄色い歓声は、そのせいか。

「あぁ〜かっこいい…」

『ふーん、よかったね』

「なにそれ、興味ないの？！」

『うん』

「今日の帰り道コケてしまえ」

『地味に痛いやつじゃん』

イケメンを見るのは好きだが、別に先輩に興味はない。だって、関わったら目立つじゃん。

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