キイロとクロ7 (ページ46)

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少し経ってから遠くから戻ってきた廉とA

あれからというもの、Aへの気持ちはもはや強くなる一方で

弱虫な僕はもう傷つきたくなくて諦めたいと願ったり

それでもやっぱり、Aの隣には僕がいたいと強く思ったり

感情は毎日忙しい

2人を邪魔する小賢しい真似はしたくないけど、たまに優越感に浸りたくなって、僕とAにしか分からないことをやってみたりする

その度に廉には殺されそうなほど睨まれる

これもそう

『ねぇA、今年の三本勝負しよ～』

「あぁ、しよっか笑笑」

三本勝負

毎年線香花火を三回で勝負して、負けた方が夏休みのアイス全奢りという、学生の僕らに悪魔のような遊びをしてる

廉の隣からAを奪った僕

チラッと廉の様子を伺うと、案の定機嫌が悪そうだ

あとで殺されるんだろうな

花火をするAは少しだけ元気がない

『どしたの、そんな負けるの怖い？』

「負けるのは怖いよね、お金ぶっ飛ぶわけだから」

『死ぬ笑笑』

「本当だよ笑笑、なのに毎年やっちゃうよね～」

『勝てば天国だもん』

笑ってみせるAだけど、やっぱり違和感が残る

『なんかあった？』

顔を覗くとすぐに違う方向を向いたA

「何も、遊びすぎて疲れたくらい

よーし、やるぞ～！！！」

気合を十分に入れた彼女はあっけなく負けて、悔しそうにするAに愛おしさが溢れた

Aを苦しめるものは全部排除したいけど、悩みの一つの種が、僕だったらいいななんて、そんなことも考えてしまっていた