キイロとクロ7 (ページ29)

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「…廉くん、今日帰りたくない」

ただ廉くんに会いたい一心でやってきた私を強く抱きしめてくれる彼は、やっぱり私の大好きな廉くんだった

ここが一番落ち着くの

だから今日はずっとこうしていたと思った

それに、海人とどう顔を合わせていいのかもわからない

【…】

何も言わずにただ背中をゆっくりと撫でる廉くん

【…お母さん達心配するやろ】

「嘘つくもん」

【あかんよ】

「廉くんと一緒にいたいの」

すると廉くんはパッと体を離して、決まりが悪そうに頭を掻いた

【俺やって、毎回毎回帰したくない気持ちなんよ

特に今日はもっと】

少し目線を外しながら勢いよく言った彼

【せやけど、送ってくから今日は帰りや】

そう言い放ち財布や携帯を取りに行く廉くん

「…」

俯く私に気がついた彼は、また戻って頭を撫でた

【…Aが大事やから、やで。

大丈夫、何も心配することないんよ】

廉くんを見上げると、キュッと口角を上げて微笑んだ

廉くんにはずっと前から、何もかも見透かされてる