キイロとクロ7 (ページ24)

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僕の言葉を聞いた後、Aはまたゆっくりと口を開いた

「私、気持ちを上手に言葉にできないの」

『知ってるよ』

「だから今何考えてるのかな、とかどう思ってるかな、って海人の言う通り、伺ってばっかりなの。

自分の気持ち言ってもないのにそうやって色々なこと決めつけてる。

でも廉くんは、真っ直ぐな気持ちを私に伝えてくれて

私が言いたいこと言えるように引き出してくれる

だから私も廉くんに伝えようって思えるの

廉くんのことが、好きなの」

『…』

「海人と違って、考えてること、思ってることちゃんと伝えてくれるよ」

『俺だって』

「海人があの日のこと忘れられてないなんて、そんなこと思ってもみなかった、海人が私を好きなんて、そんなこと…」

『……』

「私はキスした日、海人は沙織先輩を忘れられてないでしたことなんだろうなって思ったけど、それでも触れたいっておもったの、

そうやって言ってもないのに、決めつけちゃってた。

でもそれって、海人も一緒でしょ？」

『…』

「幼馴染だから、伝えなくても、言われなくてもわかるって思い込んでた。

わかってるフリしないで

もっとちゃんと口に出してたら、違ってたかもしれないけど」

『、、、そう思ったから、、、っ！』

俺がその先を言おうとすると、遮るようにAは言葉を紡いだ

「けど、もう遅い。

今更

海人はずるいよ」

『遅いのなんかわかってるよ…

でももうこれ以上手遅れになんかできないから』

「…わかってるなら、もうそんなこと言わないで

幼馴染として、側にいるよ、ずっと。」

『…それじゃ、嫌だって』

「……私はそれでいい、もう、行くね」

Aは雨に紛れながら大粒の涙を流して

僕の前から去っていった。

どんなに正直な気持ちを心から伝えても

時として

タイミングが邪魔をすることもある。

ちゃんとその時々に、しっかり言葉に出して伝えないと、微塵も届かないことを思い知った。