キイロとクロ5 (ページ30)

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帰り道

また廉くんは家まで送ると言ってくれて

私たちは丘の公園に寄った

廉くんに、もう一つ大事なこと

　

伝えないといけないよね

「廉くん、もう一個、言いたいことがあるんだけど」

【ん？】

「私、今、廉くんのことがとっても好きだよ、

海人じゃなくて、廉くんのことが好き

こんなこと口に出すようなことじゃないかもしれないけど、廉くんの中でのちょっとの不安要素にもなりたくないから、、」

廉くんは顔色を変えずにただじっと私の話を聞いた

【、、、】

「、、、」

【ありがとね、ほんまに】

「、、、ううん、こちらこそなの」

【ちゃんと口に出してこんな伝えてくれたん初めてやし、俺のこと考えて言ってくれて、ありがとう】

廉くんがいつも素直な気持ちを伝えてくれるから、私も伝えないとって思ったんだ

廉くんはゆっくりと私の方に手を伸ばして、髪を撫でて微笑んだ

その少しゴツゴツした、温もりのある手は頬に届いて

廉くんと交わる視線に胸が熱くなった

ほんの少し角度を変えて、少しずつ近づく廉くんの顔

あと数センチ

その時

ザワッ

勢いよく風が吹いて、向こうで生い茂る木々が揺れた

私は咄嗟に木の方に目を向けると

廉くんの私を撫でる長い指がそっと私の顔を正面に向かせた

【まだ、終わってないでしょ】

少し低い声でそう言うと

そっと触れるような

優しいキスを落とした

廉くんの匂いに包まれてその柔らかい感触から離れると

【俺絶対茉里のこと大事にするよ】

と、力強く、真っ直ぐに言葉を伝えてくれた

誰かにこんな風に言われる幸せを噛み締めて

私の目からは、今日二回目の一筋の涙が流れた