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あの日から、僕は合間を見つけてはAの病室に行くようになった





完全なる警備も味方して、僕らはまた時間を共有した





彼女の支えになりたいと心から思うのと、今、Aのそばに居ないと、また追いかけていたものがふわっとなくなってしまう気がして




僕は自分のためにも、そばに居たいと思ってしまった






体調もだんだんと優れて、難聴も症状が出る機会は減ったけど、父親がいなくなる恐怖に苛まれる夜はあった





『やっほお』





僕が病室に顔を出すと、





「あ、おはよう」





なんて手をひらひらさせて、挨拶するA





『ん〜はぁ...』





疲れた体をどしんと預けるように椅子に座ると同時に、彼女は少しだけ笑った





「仕事、忙しいの?」





『んー、昨日撮影終わったの3時でさ』





「そっか、無理してこなくて平気だよ。




紫耀くんまで倒れたら『こら、言ったでしょ』





Aの言葉を遮るように僕が言うと、彼女は目を丸くさせる





『俺はAじゃないって、バカ体力なんだから』





「んふふ、そうだね。



ありがとう」





君が僕の瞳を見つめ、優しく微笑むたびに





どうしようもなく愛おしい想いが溢れそうになる





手を伸ばして、髪を撫でて、優しく抱きしめたいと思う





そんな思いを押し殺しながら、僕らはなんとも言えないもどかしい距離の時間を過ごしていた





「事務所の人は、知ってるの?」






『ん?知らないよ?』






「...そっか」






『A、大丈夫だよ。





大人の言うことは半分聞くことにしたの』






「なあに、それ笑」






『...もう、全部投げ出しちゃうようなガキじゃないからさ』





そう言った僕を見つめた彼女の表情は、自惚れてるかもしれないけど





愛おしいものを見つめるかのような瞳だった

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設定タグ:平野紫耀 , King&Prince , 深紅
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作者名:しろくま | 作成日時:2021年2月26日 1時

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