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『...でも、次もし何かあったら...っ!』
「ないよ、ない、大丈夫
ちゃんと休んで、お父さんのことは...何とかする」
僕はやっぱりAと離れるべきじゃなかったね
1人で大丈夫だっていう思いを、ようやく取り除けたのに
その鎧は会わない間にもっと強く固いものになって、彼女を縛っていた
次の瞬間、僕は胸元にAの頭をすっぽりと収め、彼女の頭をゆっくりと撫でた
「えっ、ちょっ...」
『...Aは、今大丈夫じゃないと思うよ』
「...」
『ううん、違う、これからも、大丈夫じゃない
俺がいないとやっぱダメだと思う、いや、ダメ』
「何言って...っ」
『ちゃんと、怖い辛いって俺に言ってたAに、戻っていいよ、俺はここにいる、今はここにいるから』
その言葉を聞いたAは暫くして、力が抜けたように僕に体を預けた
「...怖い」
『うん』
「毎日が怖い、お父さんを失くす日が怖い
聞こえなくなる瞬間が怖い
...1人になるのは嫌だ」
『うん』
「...有名になりたい理由、覚えてる?」
『うん、もちろんだよ』
「これから....っどうしよう」
『....』
「どうしよう、もう、見つかったのに、だったら、これからどうすれば...っ」
Aが有名になることに拘っていた理由
自分を捨てた父親が顔を出してくれると思ったから
彼が見つかった今、Aは目標を見失った
そんな君にかけてあげる言葉、僕なんかには見つかりっこなくて
泣きじゃくる君の頭を撫でることしかできなかった
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作者名:しろくま | 作成日時:2021年2月26日 1時