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【…】 ページ30

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霊安室に入ると、傷だらけの両親がいた。


昌磨や先生は外にいる。


この部屋には私とお父さん、お母さん、そして医師だけだ。



そっと触れてみる…



『冷たい……』



頰を流れる涙は終わりを知らない。


このまま終わることはないんじゃないかと思うくらい流れるそれは、触れたお母さんの頰に落ちた。


「信号待ちの時、飲酒運転の車が歩道に突っ込んできてその時に…」

医師の言葉なんか頭には入ってこない。

どんなことがあったのか、それはもういい。


ただ現実はあまりに冷たく残酷であったのだ。

どんな背景があろうとも、

今目の前にある事実は


もうこの世に両親はいない。

ただそれだけなのだから。



ーーShoma sideーー

霊安室の外で先生と待っている。

今までにない重い雰囲気を感じる。

当たり前だ。

お互い言葉を交わすことなくAを待つ。


そしてどれだけの時間が経っただろう。

Aが出てきた。



「A....」


美穂子先生が名前を呼ぶ。

『はい』

Aの顔…笑顔だったのだ。

引きつった笑顔。

作った笑顔。

頰には涙の流れ跡。

そこまで彼女にさせる理由はどこにあるのだろう。


『美穂子先生、夜遅くまですみませんでした。もう大丈夫なので』

「大丈夫な訳ないでしょ。ご親族は⁇」

『父方の両親はもういません。母方の両親はロシアですし…今日はとりあえず家に帰ります』

「さすがに家に1人は危ないわ」

「俺の家来なよ、1人じゃ……樹もいるし…」

『……でも』

「いいから。来なって」



そんな感じで無理矢理家に連れて来た。

今日、1人で家で過ごすのは危なすぎる。

家に着き、美穂子先生と別れる。




「落ち着いたら連絡ちょうだい。私は何があってもAの味方だから」

『はい、ありがとうございます』

「昌磨、頼んだわよ」

「はい」


美穂子先生の車を見送った後、Aはその場から動かなかった。

「家入ろ…」

返答もないまま、そっと手を引き、家に入った。

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設定タグ:フィギュアスケート , 宇野昌磨 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
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紗雪(プロフ) - あやかさん» ご指摘ありがとうございます。直させていただきました。またの愛読よろしくおねがいします。 (2018年4月28日 21時) (レス) id: cc0e0dfa04 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - FS (2018年4月28日 19時) (レス) id: e75ef3ebbf (このIDを非表示/違反報告)
紗雪(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございます。直させていただきました。またの愛読よろしくおねがいします。 (2018年4月13日 16時) (レス) id: cc0e0dfa04 (このIDを非表示/違反報告)
- チャンピョンじゃなくてチャンピオンじゃないんですか? (2018年4月13日 14時) (レス) id: bfe765a139 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紗雪 | 作成日時:2018年4月12日 14時

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