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後悔 ページ6

重荷という云い方は或る意味で間違ってはいないのかもしれない。
 織田作の云う事は何時も正しい。でも、こればかりは織田作にだってどうにもならないことだ。

「私はね、織田作。Aちゃんを守れれば、それで善いのだよ」

 私は、その為だけに生きているといっても過言ではないだろう。

「それは、他の男に取られたとしても、か」

「………………」

 確かに、私は世紀の名探偵とやらにAちゃんを取られてしまった。

 Aちゃんの想い人は中也だったはずだ。なのに、横取りされてしまった。

 Aちゃんは、私よりも中也を選ぶんだ。

「後悔しているなら、直接云えばいい。俺の傍から離れないでくれ、とな」

「そんな事、遠の昔に云ったよ。私と一緒にいてって。子供のころの話だから、姉さんは忘れてしまっているだろうけれどね」

「太宰君らしくありませんね」

 私と織田作が話をしていると、ドアが開き、安吾が入って来た。

「やあ、安吾。久しぶり」

 安吾は織田作と私の後ろを通り、隣に座った。定位置だ。

「太宰君でも、後悔する事があるんですね」

「そりゃあね。誰よりも大事な私の宝物」

 酒を一口。なんだか、今日の酒は美味しく感じない。何故だろう。

「そういえば、安吾は仕事が忙しかったのかい?」

 あんまり、追及されたくないので、話題を変えてみる。

「そうですね。まあ、一応」

 一応、ね。

 私は、最近、安吾は何処か怪しいのではないかと疑っている。しかし、それは織田作にも安吾にもAちゃんにだってバレないように、探している。

 その内、何か私にとって良くないことが起こる気がする……。

 私達はその後も、色々語り合って1時間ほど経った時、店を出た。

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作者名:LUCA | 作成日時:2019年3月29日 21時

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