声が出せない君へ【坂本勇人】

守る ページ27

練習の後、原監督に呼ばれた


ふたりきりで話したいことがあると言って


ミーティング室に呼ばれて俺は行った


勇人「失礼します」


原監督「おう、まあ座って」


何を話されるのかは大体分かってるけど


不安の気持ちが渦巻く


でも原監督はいつものように柔らかい表情をしている


原監督「Aちゃんの事だが、あの子とはどうやって出会ったんだ？」


原監督が質問した


勇人「Aちゃんと出会ったのは三週間くらい前で、夜道に倒れてるのを僕が見つけました。
最初見たとき、Aちゃんは傷だらけで、本当に酷かったです‥。
なぜそうなのかは聞きません。
無理にAちゃんの過去を聞くわけにもいきませんし‥。」


原監督「一番気になってることなんだが、なんであの子は話せないんだ？」


勇人「それは僕も分かりません。
　 Aちゃんと出合えたことは素直にうれしいですが、どうしたらいいのか‥。」


自分でも声が震えてるのが分かる


この場から逃げたい‥


原監督は椅子から立ち上がって


俺の肩をポンポンと叩いてくれた


原監督「大丈夫。勇人、ありがとな。
　 Aちゃんの味方してやれるのはお前しか居ないんだから」



そう言われて


気持ちが和らいだ気がした


俺、これからAちゃん守っていかなきゃ‥

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