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ひかると一緒に食べるだけで、さっきまで食欲がなかったのが嘘みたいに美味しい。
妹は友達と遊ぶみたいで出掛けて行ったし、両親も両親で昼ごはんだけ作った後に2人で出掛けてるし、今は2人きり。
お母さんはもちろん俺1人のぶんしか作って行かなかったけど、もうこんな時間だし半分こした。
「今日午前中どこ行ってたの?」
「薮に誘われてカラオケ行ってた」
「やっぱり薮か…」
聞かなきゃよかったかも。カラオケでどんな話したかは知らないけど、薮に仲直りしろって言われたから今日来てくれただけなのかな。ひかるの意思だったわけじゃないのかもしれない。
ひかるに限ってそんなことないはずだけど、不安になるのは事実で…。
でもまさか、薮に言われたから今日ここに来たの?なんて聞けるわけないし、聞いたところでまた喧嘩ムードになるだけだし。
そんなの嫌だけど…
「いのちゃん?」
「ん?」
「ねぇ、明日どっか行かない?」
「え!?」
「あ、なんか予定あった…?」
「いや、ない、けど…」
「仲直りした記念に…2人で遊びに行きたいなって」
仲直り記念って…幼稚園児かよ笑
急にびっくりさせられたと思ったら、そういうとこひかるっぽい。
ひかるから誘ってくることなんて絶対ないと思ってたのに、しかもバンドの練習で忙しいはずの今…。
でもやっと、ひかると2人で出掛けられる。
「どこ行くの?」
「うーんどうしよっかなぁ…新しくベース見たいのと、あとバンドが無事終わったらなんかみんなに渡そうかなって思ってて。いのちゃん行きたいとこある?」
「俺は特に…。ひかるの行きたいとこでいいよ」
「じゃあ10:00に迎えにくるね、適当にお店まわろ」
まだ学生だからそんなぽんぽん新しい楽器が買えるわけなくて、だから多分また本当に見るだけなんだろうけど、またベース見るのか、ってちょっと思ったのは置いといて。
1人で行ってもいいはずなのに、俺を誘ってくれたことがすごくうれしかった。もしかして行きたいところは口実で、俺と出かけたいと思ってくれてたのかな、とか自意識過剰になりそうになる。
俺は普段ありがとうとか照れくさくてあんまり言わないけど、ひかるはバンドのメンバーのこともよく見てるし、終わったらみんなに何かあげるなんてかっこいい気遣いもさらっとしちゃう。
それは昔から尊敬してて羨ましくて。
そういうとこ好きだなって。
「わかった、じゃあ明日待ってるね」
…言えないけど。
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作者名:さや | 作成日時:2017年10月11日 0時