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「いやお前…なんかあったのはお前らだろ…」


「…へ?」


失恋したとか、急にまた引越しが決まったとか、薮の悩み事を色々パターンとして考えて、どうやって慰めようかと思ってた俺にとって薮のその発言は想定外すぎて、気の抜けた変な声が出てしまった。


「伊野尾となんかあったんだろ?あの花火大会の日」

「え、いやえっと…」


いくら薮でもいのちゃんの許可もなしに言っていいことではないような気がするし、普通の感性だったらアブノーマルな関係なわけで…




「いや大丈夫、俺にはバレバレだから。」
「どういうこと?」

薮は、はぁ、と小さく溜息をついてもう一度俺をみた。薮の言ってる意味が全くわからなかった俺はきょとんとしてしまったんだけど。



「小学生のときから伊野尾は光のこと好きだったと思うけど」

「え!?」


いやそれさらっと言うことじゃないよね!?
確かにいのちゃんは告白してくれたときに、ずっと好きだったって言ってくれたけど、そんな前からだなんて聞いてないし、それを薮から聞くってどうなの…いのちゃんは昔から薮に相談とかしてたってこと?


「心配すんな、伊野尾から聞いたわけじゃないから」



そういう問題じゃない、薮は昔からちゃんと気づいてたのに俺はそんなの全く気づいてなくて…

昔からずっと隣にいるのは俺なのに、なんで気付かなかったんだろう、っていう後悔と、気づいてた薮によくわからない嫉妬心。


「…で?何があった?」


でもそういうことに気づいていながら俺たちと普通につるんでいてくれた薮なら、話してもいいかもしれない。

何より1人で考えていても答えは出ないし。早くいのちゃんと仲直りしたいし。




俺は花火大会のときにいのちゃんに告白されたこと、昨日いのちゃんにちょっと怒ってしまったことをざっくり話した。

薮は面白がって告白のシチュエーションとか言葉とかも聞きたがったけど、そんなの俺だけが知ってればいい、俺といのちゃん2人だけの宝物みたいなものだから。


「…って、感じなんだけど…」

「なるほどなぁ…いや、お前ら2人とも悪いわ」

「え?」

「どっちかっていうと伊野尾の方が悪いかもな」



だって光間違ったこと言ってないし…と薮は続けるけど、全然納得できない。光が悪いって言ってくれた方が全然よかった。



「…で?どうしたいの光は」
「俺は…早く仲直りしたい」
「ん、きっと伊野尾もそう思ってると思う」


「…いのちゃんと話さなきゃ」

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作者名:さや | 作成日時:2017年10月11日 0時

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