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in side
「そろそろセッティング行かなきゃだ」
「ん、そっか…」
ひかるといるとやっぱり時間はあっという間に過ぎてしまって。バンドでもひかると一緒だけど、2人ではいられないからちょっとだけ寂しくなったりして。
あと少しで体育館、っていうところで急に口を開いたひかる。
「文化祭終わってさ、片付け終わったら代休あるじゃん、なんか俺の親がさ、2人ともたまたま出張が重なって誰もいないんだけど…
…泊まりに来る?」
「は!?」
もちろんひかるの家に泊まりに行ったことはちっちゃい頃から何回もある。
それこそ俺の親が出張の時も何度もお世話になった。
でもこういう関係になって、というか最後にお泊まりなんてしたのは中学2年生の時だったかな…でももちろんその時はひかるのお母さんお父さんがいて。なんなら俺の妹もいた。
「あ、ごめん、嫌だったら全然…もういい加減1人でも留守番できるし」
「…いやじゃない」
「本当に?じゃあ何食べたいか考えといてね、俺作るから」
「…うん」
「あ、光と伊野尾やっと来た、遅いよお前ら」
「ごめん薮!すぐセッティングする!」
ぱたぱた走って行ってしまったひかる。赤くなった顔は誤魔化しきれなかったみたいで、俺を見ながら何処と無くにやにやしている薮を見ないようにして俺もキーボードのセッティングに向かった。
リハも終わってあっという間に本番5分前。
後夜祭のステージの最初が俺らだから、生徒達を一気に盛り上げなくてはいけない。
俺は顔にはあまり緊張は出ないけど、手が冷たくなっちゃって、ちょっと震える。
困ったな、キーボードで手が震えるのは大問題だ。
そしたら両手があたたかく包まれて。いつのまにか下を向いていた顔を覗き込まれる。
「いのちゃん、緊張してるっしょ?
大丈夫だから。失敗しても俺が助けるから」
「…ありがと、俺も頑張るね」
失敗しないから、とか言われると俺が余計プレッシャーに感じてしまうことをちゃんとわかっててそう声をかけてくれる。
見つめあって数秒、それは一瞬だったような気もするし、10何秒だったような気もする。
だんだんひかるの顔が近づく気配がしてゆっくり目を閉じた。
「伊野尾ー!光ー!円陣するから来て!」
俺とひかるを呼ぶ薮の声。
それが聞こえると同時に瞬時にひかるの気配は離れていった。
「はーい今行く!…行こ、いのちゃん」
あと1秒でも待ってくれたらよかったのに!
ふざけんな薮!!
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作者名:さや | 作成日時:2017年10月11日 0時