近すぎて遠くて。(hk×in) (ページ15)

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hk side

いのちゃんと一緒に文化祭まわりたかったけど、クラスの奴がシフトを組んだからそれは叶わなかった…

と思ったら、俺らのクラスのカフェは予想以上に大盛況。混むだろうって言われた時間帯にシフトが入ってた俺はもちろん死ぬほど忙しかったけど、午前中のいのちゃんと薮のときからもうすでにだいぶ忙しかったらしい。

予算はとっくに達成して、材料がなくなる事態になってしまった。

だから俺らのクラスは早めに閉店することになって、締めと片付け合わせてもこんなに人がいらないってことで何人かは解放されることに。

「有岡くん、残る？」

「うーん文化祭回りたいけど…」

「有岡！お前まさか行ったりしないよな？手伝えよ～！」

「あー…残るわ笑」

「じゃあ俺も残るよ」

「いや俺が残るから光くんは行ってきていいよ、この後バンドの演奏もあるんだし」

なんかやけに優しい髙木(いやいつも優しいけど)がそう言ってくれたから、疲れてるのは確かだし甘えることにした。

今いのちゃんどこにいるのかな…荷物取りに行って連絡してみよ。

荷物を取りに教室に行くと、中にはいのちゃんと薮。2人ですっごい楽しそうに喋ってる。
何もない事はわかってても、らしくなくもやもやして俺は急いでドアを開けた。そしたら思ったより大きい音が鳴ってしまったみたいで。

「うわ！…あれ、ひかる？」

「どうした？サボったら委員に怒られるぞ？」

「いや、なんか材料なくなったとかで早く閉店になったからさ…ちょっとでも文化祭回ろうかなって」

「あーじゃあひかる達の時も結構忙しかったんだね、俺たちもまだそんな回ってないから3人で回る？大ちゃん達は？」

「大ちゃんと髙木は片付けに引きずりこまれてった、そういえば髙木が薮呼んできてって言ってたから薮行ってあげて？」

「は、マジで…じゃあ行ってくるわ…」

薮がしぶしぶ教室を出て行って、その背中を不思議そうにいのちゃんが見てた。

「いのちゃん、」

「ん？」

呼びかけるとこっちを向くいのちゃんが、外から入る光で照らされてキラキラして見える。綺麗だなぁ、なんて。

「…ひかる？」

「いのちゃんと2人で文化祭回りたくて薮に嘘ついちゃった」

「…！は、なに、言って…！」

一瞬きょとん、としたと思ったらいのちゃんの顔はどんどん赤く染まっていく。自分でもそれに気づいたのか、急いで顔を伏せるいのちゃんはとてもかわいい。