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「ごめんねお待たせ!」

適当にスマホを弄ってたら帰ってきたひかる。
1人だとやっぱりつまんなくてだいぶ待った気がしたけど、まだ5分しか経ってなかったらしい。
ちょっと息を切らしてるとこから、本当に急いで行ってきてくれたんだなってことがわかるから許してあげる。
でも買い忘れたものってなんなんだろ…


聞こうとしたらちょうど席が空いたみたいで案内される。何を買ったのかは気になってたけど、正直そんなことより早く注文する方が大事だ。


「俺これにしようかな」
「あ、俺が食べようと思ってたやつ…」
「じゃあ俺こっちにするよ、どうせシェアするでしょ?」


ひかるは回し飲みとか好きじゃないって言ってたのを聞いたことがあるけど、俺とはいつもご飯も飲み物もシェアしてくれる。
むしろひかるの方から言ってくれる。
多分幼馴染でそんなこと気にするようになる前からやってたから気にしないだけなんだろうけど。


なんか特別感、ってちょっと嬉しくなっちゃう俺も俺だ。


好みも大体合うからこうやってお店で頼む時も、たまーにひかるがご飯作ってくれる時も、ひかるが一緒の時は俺は好きなものを食べられる。


ちょっとお昼には遅い時間だったからか、すぐに料理が出てきた。ご飯の時はご飯に集中しちゃうから会話はあんまりないけど、うま、って独り言みたいに呟くとひかるも、本当だこれめっちゃ美味いね、って返してくれる。


まだまだ食べ盛りだからあっという間に全部平らげて。


「そういえばひかる」
「ん?」
「さっき買い忘れたものってなんだったの?」



「…これ、いのちゃんに。今日付き合ってくれたお礼っていうか…」
「えっ…」

ひかるが差し出してきたのはお洒落なロゴが入った小さな袋。

「…開けていい?」
「いいよ」

いつもはこんな袋なんて捨てちゃうだけだから適当に開けるけど、今日はゆっくり丁寧に。


「キーホルダー?」
「うん、でさ、それ…」

ひかるが自分のポケットから取り出したのは色違いの全く同じキーホルダーで。


「…お揃い。キーホルダーなら鍵開ける時しか出さないからバレないかなって…いのちゃんと回ってた時に見つけて」

なんか今日のひかるが積極的すぎて。
手繋いできたり、プレゼントくれたり、
普段そんなことされたことないのに。
その上お揃いなんて。バレないようにって気遣いまで添えられて、俺は完全にキャパオーバー。

「…ありがと…」


お礼を言うだけで精一杯だった。

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作者名:さや | 作成日時:2017年10月11日 0時

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