銀色の災いは炎の人に恋をする (ページ6)

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家族ページ6

『全く。あなたのせいでガーゼも包帯もつきそうです』

今日も私は彼の手当てをしている。
彼はバツが悪そうにそっぽを向いた。

「なら、手当てなんかしなきゃいいだろ」
『家族のけがをほっとけますか。いいからじっとしてなさい』

ぴしゃりと言えば、彼は黙ってくれるのを私は知っている。

手当てを終えるとマルコ兄様が来ているのに気づいた。

「おまえら、なんであいつのことオヤジって呼んでんだ…？」

ポツン、と彼が呟いた。
自然に私はマルコ兄様と目を合わせる。

「あの人が…"息子"と呼んでくれるからだよい」

彼が顔をあげてマルコ兄様を見た。
マルコ兄様も優しい目で彼を見つめる。

「おれ達ァ世の中じゃ嫌われ者だからよい、嬉しいんだなァ…ただの言葉でも嬉しィんだ」
『お父様は私のような忌子も受け入れて、愛してくれました。娘という、たった一言が、私に居場所をくれたんです。』

私もマルコ兄様に続いてそう言うと、彼が驚いたように瞬きしながら「忌子…」と呟いた。
聞きなれない単語だったからだろう。

「おまえ、命拾いしてまだこんなことする気かよい、いい加減決断しろよい」

彼が反抗期の子供のような顔をしてそっぽをむいた。

「それともなんだよい、Aに手当てして欲しくてワザと親父に挑んで怪我してんのかよい？」
「んなッ⁉そんなわけねェ！！！」

彼がガバッと立ち上がって兄様にくってかかった。
心なしか、彼の顔が赤い。

『マルコ兄様へんなこと言わないでください！この子はメラメラの実の能力者ですよ、滅多なこと言って船が燃えたらどうするんですか！』

怒っても、マルコ兄様は飄々として「あァ、すまねェよい」、なんて言っちゃって、全然伝わってないですね、全く！
ちなみに顔が熱いのは気温が高いからに決まってる。絶対に。兄様にからかわれたくらいで赤くなるくらいに子供じゃありませんから。私、ハタチですから。
まあ、ともかく。とマルコ兄様が彼に向き合う

「今のおまえじゃ親父の首は取れねェ…この船降りて出直すか…ここに残って"白ひげ"のマークを背負うか…！！」

彼が視線を外して俯いた。
私は彼の顔を覗きこみ手を取って微笑む。ギョッとした顔が可愛い。

『何を悩むことがありますか。モビーには楽しいことがいっぱいあります。兄様たちは優しいし、料理だってすごく美味しいんですよ？』