story 16 ページ16
「ごめん、俺、裏切るつもりなんてなかってん。
ほんまやから、信じてな？
俺、ただ淳太様に『お嬢様は無事です、元気です』ってことを伝えたかっただけやねん。
……柊真もそうやと思う」
「あいつも？」
流星は無表情な白い顔を思い出す。
そして、内通者が二人もいたという事実に背筋が冷たくなった。
「淳太様は俺らの敵やない。
ただ濱田に踊らされてるだけ。
妹のことほんまに心配してるあの人見て、
俺らが放っておけるわけないやろ？」
「何きれいごと言うてんねん。
Aちゃん連れて帰ろうとしたんは、あいつも一緒なんやろ？
なんで妹の幸せ見届けてあげられへんのや、あのシスコン野郎は」
まだ怒りの収まらない望が、紫耀に羽交い締めにされながら叫ぶ。
「そういう言い方はやめてください」
熱くなる望に神ちゃんが返したのは、みんなの表情を凍らせる冷たい声。
色素の薄い、くりっとした目をすっと細めて、
心の底から怒りを込めて望の顔を睨んでいる。
望もその迫力に圧倒されたのだろう、
あれほど流暢に動いていた口をつぐんだ。
「淳太様はシスコンではありません。
あの、少し、昔話をさせていただけますか？」
神ちゃんは顔を上げると、ベッドの方を向いて伺いを立てる。
そちらに目を向けると、Aが大吾に支えられて体を起こしていた。
ゆっくりと彼女が頷くのを見た神ちゃんは、ふっと優しい表情になる。
「北條の家はもともと裕福な家庭でしたが、
旦那様が一代で会社を大きくされ、知名度が上がりました。
その跡取りとして、厳しく育てられたのが淳太様です。
旦那様の英才教育に、淳太様は持ち前の我慢強さで耐えておられました。
私があの家にお仕えするようになったのはその頃です。
その頃中学生だった淳太様は、私から見ると太陽でした。
自分が苦しいはずなのに、私たちには本当に優しく接してくださって、
周りの使用人に馴染めなかった私が、何度救われたかわかりません」
昔を懐かしむ神ちゃんの表情は柔らかかった。
「お嬢様に初めてお会いしたのは、中学生の時でした。
淳太様は……」
「え、一緒に住んでたんちゃうの？」
廉の拍子抜けした声が重なる。
その言葉に、神ちゃんは小さく首を振った。
「お嬢様は今の奥様の連れ子です。
淳太様とは血のつながりはございません」
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moca(プロフ) - 優希さん» 優希さん、ありがとうございます！読みにくい部分もたくさんあるかと思いますが、お褒めの言葉をいただけると、すごく励みになります( ´∀｀) 次章は２月末ごろに始められたらなぁと考えているので、楽しみにしていてください！ (2017年2月16日 0時) (
レス) id: 869b606eb4 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 愛罠シリーズ1から読ませて頂いてます！わくわくするような展開がとても面白くて大好きです！また、曲のタイトル曲の世界観がスーッと盛り込まれていて本当に素敵だなと思っています！最終章に向ってしまうのは寂しいですが続編待っています！頑張ってください！ (2017年2月15日 9時) (レス) id: efdae36fb0 (このIDを非表示/違反報告)
moca(プロフ) - ぴーちさん» ぴーちさん、そう言ってもらえるとすごく幸せです、ありがとうございます！続編はあの曲です。予想しながら待っててください！ (2017年1月31日 16時) (レス) id: c5c064e0e4 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち - すごく文章が上手で、読みながらハラハラしちゃいます！続編も楽しみにしています！ (2017年1月31日 15時) (レス) id: 6583968309 (このIDを非表示/違反報告)
moca(プロフ) - MilK.さん» MilKさん、お知らせできてなくてごめんなさい。一応前作のCriminalのあとがきで、シリーズしてきたので題名変えますとお知らせしています。内容はそのままなので、読み続けてもらえると嬉しいです！ (2017年1月1日 21時) (レス) id: eb2695e115 (このIDを非表示/違反報告)
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