story 14 ページ14
静寂を破った小さな、小さな声。
「え、」
流星はゆっくりと声のしたほうを向く。
ベッドに横たわった彼女は、まだ固く目をつぶったままだ。
「なんや、空耳……」
「……やない。
ちゃうよ、流星」
あわてたような望の声に、
流星は逸らしかけた目をもう一度彼女に戻す。
ピクリとまつげが動いて、ゆっくりとまぶたが開く。
「A？」
流星は恐る恐る声をかける。
それでも彼女は潤んだ瞳で天井を眺めるだけだった。
「なぁ、聞こえてへんの？」
「……流星？」
しばらくの沈黙の後、
聞こえたのははっきりと流星の名前を呼ぶ声。
焦点が合わないのか、Aはしきりにまばたきをしている。
「A？わかるか？
俺、ここにおるで」
流星はもう一度彼女の手を握りなおして、彼女の顔を覗き込む。
ゆっくりと流星の方に顔を向けるA。
二人の視線が絡まる。
目が合うと、Aは弱々しく、それでも安心したように微笑んだ。
「よかった、流星は無事だ」
「っ、何言うてんねん。
自分は、Aは大丈夫なん？
俺、ぜんぜん約束守れてへん。
お前のこと、何があっても守るとか言うてたくせに、
こんな目にあわせて、何もできてへん……」
「大丈夫だから、ね？
そんな悲しい顔しないでよ」
ゆっくりと伸びてきた細い腕。
きれいな指がそっと流星のほほをつまむ。
「何してん……」
「ふふっ、変な顔」
そう言って笑うAを、流星は思いっきり抱き締めた。
「よかったぁ、ほんまによかった。
もう目ぇ覚まさへんのかと思うて」
「ばか。
私が流星の顔見る前に死ぬわけないじゃない」
腰に回された腕は生命力を感じるには十分な温かさで。
「うわぁ、よがっだぁー」
温かさを噛み締める前に、上に重さが加わる。
「その声は望くんだ。
ふふっ、重いよー」
「降りろ、望。
俺ら二人ともつぶれる……」
「平野も安心しましたぁ」
流星が文句を言いかけたところで、更に重さが増す。
「うわ、ばか、どけや！
ほんまにつぶれる！」
望の叫び声が響き渡る。
ドサッという音がして、背中が軽くなり、
流星が顔をあげると、
床の上に紫耀が転がっていた。
「んもう、痛いじゃないですかぁ」
「アホ、潰れる言うとるやろ！」
笑い声が起こったのは言うまでもない。
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moca(プロフ) - 優希さん» 優希さん、ありがとうございます！読みにくい部分もたくさんあるかと思いますが、お褒めの言葉をいただけると、すごく励みになります( ´∀｀) 次章は２月末ごろに始められたらなぁと考えているので、楽しみにしていてください！ (2017年2月16日 0時) (
レス) id: 869b606eb4 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 愛罠シリーズ1から読ませて頂いてます！わくわくするような展開がとても面白くて大好きです！また、曲のタイトル曲の世界観がスーッと盛り込まれていて本当に素敵だなと思っています！最終章に向ってしまうのは寂しいですが続編待っています！頑張ってください！ (2017年2月15日 9時) (レス) id: efdae36fb0 (このIDを非表示/違反報告)
moca(プロフ) - ぴーちさん» ぴーちさん、そう言ってもらえるとすごく幸せです、ありがとうございます！続編はあの曲です。予想しながら待っててください！ (2017年1月31日 16時) (レス) id: c5c064e0e4 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち - すごく文章が上手で、読みながらハラハラしちゃいます！続編も楽しみにしています！ (2017年1月31日 15時) (レス) id: 6583968309 (このIDを非表示/違反報告)
moca(プロフ) - MilK.さん» MilKさん、お知らせできてなくてごめんなさい。一応前作のCriminalのあとがきで、シリーズしてきたので題名変えますとお知らせしています。内容はそのままなので、読み続けてもらえると嬉しいです！ (2017年1月1日 21時) (レス) id: eb2695e115 (このIDを非表示/違反報告)
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