story 12 ページ12
望の言葉に、ちびりゅが神ちゃんの顔をチラッと見上げる。
神ちゃんはぐっと唇を噛むと、首を振った。
「え……」
最悪の事態を想定した望は言葉を失う。
神ちゃんの手当てを続ける紫耀も、手を止めて顔を引きつらせていた。
「わからへん。
俺ら、逃げてきてもうたから」
神ちゃんがポツリとつぶやいた言葉に、
二人は揃って安堵のため息を漏らす。
「なんやあ、死んでもうたんかと思うたわ」
「きっと大丈夫ですよね、みんな」
紫耀の言葉に望は大きく頷く。
あの文一くんが簡単に死んでまうとは考えられへんからな。
それでも神ちゃんは渋い顔を崩さなかった。
ちびりゅも目に涙をいっぱいためて、こぼさないように我慢している。
「嘘やん……」
「準備できたでー」
軽快な足音ともに、階段を降りてきた廉が踊り場から声をかける。
「そしたらいきましょか」
そう言って立ちあがった紫耀。
神ちゃんを軽々と抱き上げると、
今にも泣き出しそうなちびりゅの顔を覗き込む。
「大丈夫やって。
文一くんも、ジーコも、トーマも、
ちゃんとここまで来てくれるはずやから。
みんながどんな状態で戻ってきても大丈夫なように、
俺らは準備しとこ。な？」
ニコッと笑った紫耀は、神ちゃんを抱えて階段を上っていった。
「そう、ですよね……ヒック」
その言葉に安心したのか、ちびりゅの目から涙が溢れてくる。
望はその小さな頭に手を置くと、同じ目線になるようにしゃがみ込んだ。
「俺らの仲間やろ。
俺らが信じてやらなどないすんねん」
ぎゅっと拳を握ったちびりゅは手の甲で涙を拭うと、
澄んだ瞳を望に向けた。
「はい。僕、できることはお手伝いします」
「ええ顔してるやん。
ほら、行ってこい」
望はポンとちびりゅの頭を叩くと、階段の方に体を向けて押し出した。
一歩前に踏み出したちびりゅは、くるっと振り向くと望に一礼する。
上の階に消えていくちびりゅの後ろ姿を見送ってから、
望はリビングへと急いだ。
「あ、のんさん、どないしたんですか？
廉がすごい勢いで戻ってきて……」
「向こうの車が襲撃された。
Aちゃんが気ぃ失ってて、神ちゃんが怪我してる。
大吾も行くで」
リビングで心配そうに待っていた大吾にそう告げると、
望も大吾を引っ張るようにして二階へと上がっていった。
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moca(プロフ) - 優希さん» 優希さん、ありがとうございます！読みにくい部分もたくさんあるかと思いますが、お褒めの言葉をいただけると、すごく励みになります( ´∀｀) 次章は２月末ごろに始められたらなぁと考えているので、楽しみにしていてください！ (2017年2月16日 0時) (
レス) id: 869b606eb4 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 愛罠シリーズ1から読ませて頂いてます！わくわくするような展開がとても面白くて大好きです！また、曲のタイトル曲の世界観がスーッと盛り込まれていて本当に素敵だなと思っています！最終章に向ってしまうのは寂しいですが続編待っています！頑張ってください！ (2017年2月15日 9時) (レス) id: efdae36fb0 (このIDを非表示/違反報告)
moca(プロフ) - ぴーちさん» ぴーちさん、そう言ってもらえるとすごく幸せです、ありがとうございます！続編はあの曲です。予想しながら待っててください！ (2017年1月31日 16時) (レス) id: c5c064e0e4 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち - すごく文章が上手で、読みながらハラハラしちゃいます！続編も楽しみにしています！ (2017年1月31日 15時) (レス) id: 6583968309 (このIDを非表示/違反報告)
moca(プロフ) - MilK.さん» MilKさん、お知らせできてなくてごめんなさい。一応前作のCriminalのあとがきで、シリーズしてきたので題名変えますとお知らせしています。内容はそのままなので、読み続けてもらえると嬉しいです！ (2017年1月1日 21時) (レス) id: eb2695e115 (このIDを非表示/違反報告)
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