伸ばした手を２ (ページ27)

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No.77 ページ27

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渡「上手くいったと思う？」

コンビニから戻りエレベーターに乗り込んだ途端にボソリと翔太が呟いた。

その顔は少し眉が下がりちょっと情けない顔。

深「さぁ…でも阿部ちゃんは自分の気持ちに鈍感すぎんだろ。」

渡「………たしかに。」

エレベーターの壁に背中を預けポケットに手を突っ込めばガサッと袋が音を立てた。

でもあの時、俺が大地のことをちゃんと話していたら、阿部ちゃんはもっと早くAに対する自分の気持ちに気づいたんじゃないか

あんな風に後悔させてしまう事はなかったんじゃないか……

それなりに時間は経ったけどそれでもまだ気分は晴れなくて

あっけらかんと笑うAを見れば少しは気が晴れるだろうとAの家に遊びに来たのに

まさかこのタイミングで告りに来るなんて…

チンと軽い音と共にエレベーターのドアが開けばホールに座り込んでる阿部ちゃんがいた。

深「…なんでそんなとこに座ってんの。」

阿「ちょっと力抜けた…」

苦笑いしてる翔太と一緒に阿部ちゃんの腕を左右から掴み、引き上げてなんとか立たせる。

渡「空気読んで居なくなってやったんだからちゃんと言ったんだよな？」

阿「う、ん……ちゃんと告白した。」

深「で、Aの反応は？」

阿「えっ、と…。」

渡「フラれた？」

おい、翔太ニヤニヤすんな。

阿「………返事はゆっくりで良いよって言った。今は恋愛どうこうってAにはまだ早いだろうから。」

のんびり待つよ。なんて笑うその顔は年下のくせに大人に見えて、何だかムカついたから足をぐにっと踏んでやった。