伸ばした手を２ (ページ24)

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No.74 ページ24

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『あー、うん…大丈夫なんだけど今ね…』

深「Aどうしたぁ？」

阿「え、ふっか？」

深「阿部ちゃんじゃん、なにしてんの？」

阿「いや、ふっかこそ！Aの部屋でなにしてっ……もしかして二人って…」

渡「玄関先でなにしてんのお前ら。」

阿「へ、翔太もいる。」

え、ちょっと待ってとコロコロと表情が変わる亮平くん。

『二人とも私が暇してるだろうからって遊びに来てくれたの。』

阿「ああ、そういう…びっくりした。」

入って。と、亮平くんの手を取り部屋の中に引っ張り込めば、ちょっとよろけつつ入ってきた。

亮平くんを辰哉くんが、どうぞどうぞ。と案内すると翔太くんからお前の家じゃねぇからな！とツッコむと賑やかになった。

しばらく仕事の話しやら笑い話で盛り上がっていると隣に座る亮平くんは一人静かにコーヒーを飲んでいた。

『そういえば亮平くん。』

阿「ん？」

『さっき言いかけた事って何？』

覗き込むように顔を見れば急に挙動不審になり、慌てておいたマグカップは倒れコーヒーが溢れた。

阿「あ！ご、ごめんっ！」

渡「ちょっと何やってんの。」

テーブルに溢れたコーヒーを拭きながらみた亮平くんの顔は驚くほど真っ赤になっていた。

『亮平…くん？』

阿「俺さ、Aに言っておきたいことが、ある…んだけど。」

真剣な表情で向き直った亮平くんに思わず背筋が伸びて座り直せば翔太くんが咳払いをひとつ。

渡「あ、タバコ切れてんだった。ふっかコンビニ行くぞ。」

深「ああ……俺は翼が欲しいわ。」

『え、ちょっ…二人とも』

渡「A、お前は阿部ちゃんの話を聞くこと。これ命令。」

『え、あ、うん…』

わけのわからないまま、二人が出ていくと急に部屋の中が静かになった。

隣の部屋の音まで聞こえてくるんじゃないかと思うほどの静寂。

「「あの………」」

同じタイミングで発した言葉。

数日前にこの部屋で交わされた会話と同じようなやり取りにお互い視線を合わせて吹き出した。