伸ばした手を２ (ページ6)

今日:8 hit、昨日:12 hit、合計:114,240 hit

No.56 ページ6

.

阿「本当、いつでも良いから…仕事中だとかそんな事気にしないで……」

もう一度苦しいほど抱きしめられたかと思えば、亮平くんはすぐに腕を解いてくれた

そんな亮平くんの様子を不思議に思って見上げれば、笑っているのに目は笑っていない。

おやすみ。と頭を一撫でして帰っていく亮平くんの背中はやっぱりどこかいつもと違って。

私の知っている亮平くんとは何かが違うような、そんな気がした。

.

.

深「おはよー。」

楽屋のドアを開け、いつもの面々から返ってくる返事。

けど一つだけ違うこと。

いつもなら机に向かって勉強しているだろう阿部ちゃんがやたら真剣な顔で携帯から視線を外さずにいること。

照の隣に座り、アレどうしたの？と小声で訪ねたけれど肩を竦められた。

岩「俺が来てからもずっとあれ。」

佐「俺話しかけても無視されたー。」

深「いや、それいつもな……ゲームって感じじゃねぇもんなぁ……」

宮「メール、とか？なんか雰囲気違うから話しかけ辛いよね。」

舘さんの言うとおり少し近寄り難い雰囲気。

前にもこんな感じがあったな。

たしか、Aと大地が別れてその原因がAだって分かった頃。

まあ、嘘だったんだけど……

渡「はよ。…阿部ちゃんどしたの。」

阿「んー……」

あの頃の阿部ちゃんは今みたいに近寄り難くて、いつもの柔らかい雰囲気は無かったっけ。

この前だっていつもの阿部ちゃんだったし、何か阿部ちゃんの中であったのかな。なんて思ったりもした。