伸ばした手を (ページ47)

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No.47 ページ47

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歩きだそうとした私の手をしっかりと握りエレベーターへと歩き出した亮平くんに着いては行くけれど、なんだ、これ。

『亮平くん、手……』

阿「転んだら危ないでしょ。怪我でもしてそかから細菌が入ろうものなら大変な事になるから。」

『あ、はい……』

小学生の子供でもいるかの様な過保護な扱いに小さくため息をつきつつエレベーターホールで繋がれた手を眺めた。

この間、あまりにも亮平くんのママっぷりにどうにかならないもんかと一度だけ辰哉くんに相談をした。

直接電話を掛けてきてくれて、元気？体調は…といいかけて阿部ちゃんと同じことになりかけたと呟いたのを聞いて、お互い吹きかけた。

直ぐに真面目な声で辰哉くんが話し始めた。

深「あのさ、A……阿部ちゃん、誰よりもお前の事でかなりやられてて、あんな事になる前もすっごくAのこと可愛がってたじゃん？しかも目の前でぶっ倒れるし……あの頃は可愛さ余って、だったのが逆転してんだもん。」

誰が上手いこといえと？となんて思っていると暫く付き合ってやって、なんて言われてしまえば断る術もない。

きっと亮平くんの中では完全に保護者なんだろうな………

繋がれた手から伝わる温度はじわりと自分の手を温めていく。

その感覚は決して嫌なものではなく、手と共に胸も温めてくれた。

きゅっと握り返せば私の顔を覗き込んできた亮平くんがニコリと笑った。

こんな風に笑ってくれるなら多少の過保護は見ないふりをしようかな。