伸ばした手を (ページ46)

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No.46 ページ46

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入院していた時と同じように規則正しい生活をしてしばらく経った。

好きな時に外出できるし、好きな物も食べられる。

それが病院にいる時と違うこと

そろそろ外食したいなって思っていた頃に亮平くんからの連絡が入った。

─ みんなAの顔見たいって煩いんだけど、明後日って時間ある？ ─

亮平くんと連絡を取るようになってからというもの毎日のように

─ ご飯食べた？

─ 風邪ひいてない？

─ ちゃんと寝てる？

ママよりママみたいな連絡の嵐にちょっぴりうんざりしてたけど、この連絡には喜び、大丈夫！と返した。

その後きたメールには、時間と共にやれスカートは冷えるからダメだの、やれセーターを着なさいだの入ってきて。

亮平くん、貴方は私のママですか……

そう心の中でツッコミながらも、当日亮平くんが言ったものと近い格好をする私も私か。

ヒートテックを着てからまだベルトを締めないとずり落ちてしまうパンツを履き、長袖のシャツと薄手のセーター。

こんなもんか。と姿見を見ると鳴り響くチャイムの音。コートに袖を通し鞄を取ると玄関に向かい、覗き穴から確認して鍵を開ければふにゃっとした笑顔の亮平くん。

『お誘いありがとう。』

阿「いきなりごめんね、無理いって。」

『ううん、ちょうど外食したかったから。』

阿「それならっ……A！」

ん？と鍵をかけて亮平くんに向き直れば、伸びてきた手がコートを掴んだ。

阿「もうっ！ちゃんとボタン締めて。夜は冷えるんだよ？」

まったく！と言いながらピッチリと首までボタンを留られ、マスクは？と真剣な顔で問い詰められた。

『あ、忘れちゃった』

阿「ダメじゃん！もぉ……」

とカバンから取り出した新品のマスクをかけられた。

阿「よし、行こっか」

『は、ぇ……』