伸ばした手を (ページ37)

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No.37 ページ37

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佐「ね、阿部ちゃん。阿部ちゃんの知ってるAってそんな奴？謝ってる人突き放したり、それを受け入れないほど器のちっちゃい奴だった？」

まだ大地と付き合う前の話。
Aのこと悪く言う奴がいたって阿部ちゃんが怒っていても、その横でそれを聞いていたA本人はそれがどうしたという顔でお酒を飲んでいたっけ……

阿「おまっ、自分のことじゃん！」

なんて阿部ちゃんが吠えてたけど

『人の好みなんて千差万別なんだから、好き嫌いあって当たり前でしょ？それよりその人と話してみたいなぁ…』

なんてAはヘラヘラ笑っていて、それを見た阿部ちゃんはまた騒いでいた。

それを見て俺は、あ、Aは芯が強いんだなって感心したりもして。

今思えば、強いからこそ…大地の事に対して反論もせず自分の中に溜め込んでたんだろうな。

佐「阿部ちゃん、もう一回聞くよ？Aは阿部ちゃんの中にいるAはそんな奴？」

俺らの中で1番仲の良かった阿部ちゃんなんだから1番良く分かっているはず。

少し置いた阿部ちゃんの頭がゆっくりと左右に揺れる。肩を抱いて身体を寄せれば

ありがとう。と小さな声が聞こえた。

な、A。

俺らはもう一度、お前とちゃんと向き合いたい。

それは茉莉も陽菜もそうだよ。

踊っていてもどこか物足りなくて

あぁ、Aの存在ってやっぱデカいんだなって。

A、早く戻っておいで。