伸ばした手を (ページ36)

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No.36 ページ36

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照と話しながら廊下を歩いていると、少し慌てた様子のふっかの背中が視界に入った。

佐「あんな所で突っ立って何してんのかな」

岩「さぁ、何かあったとか？」

お互い顔を見合わせて近寄り声をかけると振り向いたその先に蹲る阿部ちゃんの姿があった。

佐「阿部ちゃんどーした？」

阿部ちゃんの腕を擦りながら照と共にふっかの話を聞けばこの状態に納得した。
照も、そういう事ね…と阿部ちゃんの頭を撫でていた。

岩「阿部、お前だけじゃなくてさ…俺らそれぞれ思う所はあるし…そんな自分責めんな。」

阿「っ、ちが……う、の…」

頭を上げた阿部ちゃんの顔は涙まみれになっていて、どうしたらこんなになるんだと少し不思議に思ったりもした。

佐「違うって何が違うの？」

阿「う、嬉しくって…A、戻ってくるって………」

そっちかよ！とふっかた照共々声をあげれば阿部ちゃんは力なく笑いながら続けた

阿「Aが戻ってきたら、近くで話したり、とか……例え出来なくても、遠くから見守るくらいは……出来る、からっ…」

そう言って口元を緩めた阿部ちゃんを見て、頭が良いのか悪いのか分からなくなった。

照やふっかも同じのようで呆れた顔で阿部ちゃんを見てる。

深「あのさ、阿部ちゃん…元の関係に戻ろうとか、思わない？」

岩「……ちゃんと頭下げてさ、もう一回仲良くなろうとか思わねぇの？」

阿「………あんな態度とったのに、そんな俺のことAが許してくれるなんて」

そんな図々しいこと出来ない。なんて言うもんだから頭を抱えた。