No.35 ページ35
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ふっかの口からAからメールが届いたと聞いたとき思考が停止した。
AってあのA？
思考が活動を再開すればふっかへと一気に距離を縮めた。
阿「ふっか！Aはなんて？！」
深「ちょっ、分かった！分かったから！」
詰め寄った俺に少し呆れながらAからの文章を読み上げてくれた。
── こんばんは、お久しぶりです。
お手紙ありがとうございました。嬉しかったです。
色々とご迷惑をお掛けしてすみません。
中略
現場復帰はまだまだ先になりそうですが
私はまだまだアイドルであることを辞めるつもりはありません。
それでは、お仕事頑張って下さい。
A ──
絵文字も顔文字もない今どきの女の子らしからぬAのメール。
阿「本当…Aら、しいっ、や……っ、」
深「阿部ちゃん……」
目頭が熱くなって覗き込んでいたスマホの画面に水滴が落ちた。
それが何かなんて分かりきっていて
ごめん……と、顔を引っ込め壁を背ににズルズルと座り込んだ
悲しいとか
ふっかにメールが来たのが悔しいんじゃない
ただ嬉しい
Aはきっと戻ってきてくれる
そう思う反面、このまま会うことなく、この世界から居なくなってしまうのではないか
地元に戻り、違う仕事に着いて、俺たちと違う世界で生きる奴と結婚して……
そうなってしまってもしょうがない
文句など言える訳もないし、Aが幸せならそれでいい、笑っていてくれるならば
でもそこかしこに散らばるAの影が、声が、思い出が、よみがえる度に、もう一度、もう一度と欲張りになる自分がいる。
枯れ果てたと思っていたはずの涙はとめどなく溢れでて腕で顔を覆い隠した
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作者名：ひな | 作成日時：2020年5月24日 23時
