No.34 ページ34
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しっかりとパパの遺伝子を受け継いでいると変なところで実感してしまった。
ベットから起き上がり、読みかけの本を読もうかと机の上にある本を取ろうとして、その横にある辰哉くんの手紙が目に留まった
時計を見れば２０時前。
秀明くんや両親、事務所のお偉いさんくらいしかこの一年使っていなかったスマホを手に取り連絡先のアプリを開いた。
そこには沢山の人たちの名前。
色々と嫌がらせみたいなものを受けて番号も何もかも変えて久しいけれど、ある意味この連絡先の数は私があの世界にいた証のひとつ。
だからどうしても消すことが出来なかった。
並んでる名前の中から一人選びメールを送る。
アドレスが変わって居ないことを祈りながら。
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事務所の廊下を歩いていればどんよりした阿部ちゃんの姿がそこにあった。
深「阿部ちゃん？」
距離を縮めていけば、ふっかお疲れ様。と笑ってくれるけど、そこに以前の明るさは無かった。
深「ご飯いかない？」
阿「んー…昨日舘さんにこれでもかって程の中華ご馳走になったからさぁ、昨日に限らずなんだけど…今日はサラダくらいで良いかなって。」
深「そっか。なら、今度な」
それ以上会話が続かなくて、ポケットからスマホを取り出すと何件かメールが入っていた。
見知った名前の中に表示がメールアドレスのままのものがひとつ。
ストアメールか何かかと思いタップして開いてみたら全身が固まるのが分かった。
阿「ふっか？」
数歩先を歩いていた阿部ちゃんの声に顔をあげ、軽く震えながらスマホを差し出し
深「Aからメールきた……」
阿部ちゃんがハッと息を飲んだ音が廊下に広がった
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作者名：ひな | 作成日時：2020年5月24日 23時
