伸ばした手を (ページ24)

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No.24 ページ24

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佐久間と一緒に翔太や阿部をからかって遊んだり、茉莉や陽菜からかわれて顔を真っ赤にしていたり

ふっかや照とゲームをしてコテンパンにやられていたり。

この部屋に遊びに来た時も俺の横で料理を手伝ってくれたな、なんて。

『涼太くん見て！全部繋がってた！』

なんて薄切りした野菜が細工切りのように繋がってるのを楽しそうに見せてきたりして。

その時、阿部がAを猫可愛がりしている理由を見つけたような気がした。

しょうがないな。と吊られて笑ってしまったのが懐かしい。

それを見ていたみんなが盛り上がりながらその様をAと一緒にカメラにおさめたりしていたっけ。

そんなAの顔から笑顔が消えて、顔を隠すかのように長くなった前髪とメガネ。

この頃からネットでAの次の仕事の役は貞子だって言われてたのしらないだろ？

だけれど、誰も声をかけず陰口を叩かれていてもみてるだけ。

せめて自分だけは、と思ったけれどそんなもの優しさでも何でもない。

「ただ、自分が可愛かっただけだ…。」

見て見ぬふりをしていただけ。
今さらだけど何か支えになれないものかと思考を張り巡らせる。

消さずに残していたAのアドレスにメールを送ってみたが、宛先不明で戻ってきてしまった。

ソファに寝転びしばらく考えていると電話の着信音が部屋に鳴り響いた。

その電話は深澤からで、涙ながらにAと大地との事を知っていたと聞かされた。

「ふっかだけの責任じゃない。俺も同罪、見て見ぬふりをしてたんだからさ。」

ぐしゃりと飲み干したビール缶を握りつぶした