伸ばした手を (ページ22)

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No.22 ページ22

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阿部ちゃんから出てきた言葉は幾度となく俺がAに向けて言った言葉で。

最低な女。

士気下がる、来んなよ。

最低どころか最上級じゃねぇかよ。

佐「阿部ちゃんだけじゃないよ…俺らもそう。」

佐久間が大きなため息をついた。

同時に阿部ちゃんは机に顔を伏せてしまった。

噂が流れる前、阿部ちゃんはAのことを自分の妹のように可愛がっていた。

もちろん、それは俺に限らずここに居る奴らみんなそうで。

Aは気立てが良くて物怖じしない可愛い子。

でもひとたびステージに立てばこちらを飲み込んでしまいそうなパフォーマンスをする。

この1年、A本人を嫌ってはいたけれどそれだけは嫌いになれなかった。

Aは戻ってくるだろうか。
いや、戻ってきてほしい。

自分たちのしてしまったことを後悔し泣いている茉莉や陽菜たちのためにも

今さらと言われたって構わない。

渡「なぁ、涼太。」

宮「なに？」

渡「俺らさ、Aのためにできることあっかな…」

宮「そうだね…それは俺にも分からないよ。」

渡「……だよな、」

なあ、A

俺は、俺らはどうやってお前に償えばいい？