伸ばした手を (ページ19)

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No.19 ページ19

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その言葉に俺たちは固まり、驚きを隠せなかった。

スタッフさん達が驚きを見せないと言うことは周知の事実だったのだろう。

大「ンなこと知ったことかよ！そいつは、俺があんだけ可愛がってやったのに逃げ出した最低な女なんだよ！」

滝「可愛がってた？力でねじ伏せていた、の間違いだろ。そこにいる瑞希ちゃんも優秀な子だったのにお前が壊したんだよ。」

滝沢くんが瑞希ちゃんと呼ばれた女性に目線を移したとき、大地は滝沢くんの腕を振り払った。

大「ふざけんな。俺の言うこと何一つ聞けねぇこいつらが馬鹿なんだよ！馬鹿は殴んなきゃ分かんねぇんだよ！俺はそんな馬鹿な女どもに教育してやってんの、分かります？この俺が、わざわざ、自分の手を痛めてまでですよ？それなのに別れるだのほざきやがって。」

滝「大地、化けの皮剥がれたな。」

滝沢くんは大地に目もくれず女性からAを受け取り大切そうに抱き抱えた。

滝沢くんの腕の中にあるその身体は同年代の陽菜や茉莉に比べるとヤケに小さく感じた。

いや、本当は解っていた。

細すぎる首。

薄くなった手。

隠しきれなくなってきた目の下の隈。

そして何より、ふっくらしていたはずの頬が今では見る影もないということ。

そう、俺は……俺たちは

そんなAの変わっていく姿を見て見ぬふりをしていた。