伸ばした手を (ページ17)

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No.17 ページ17

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元カレと元カノ

片方は二股をかけて大地をフッたA。

確かそれ以来、会っていないって聞いてたけど大丈夫かな。と見た大地の顔は見たことも無いほど冷ややかだった。

その表情はすぐに消え柔らかい笑顔を浮かべていたが、Aはそんな大地を無表情で見つめ返していた。

そして、そんなAの後ろには滝沢くんの姿があって。

ヒソヒソと周りから非難の声が上がり始めた。

大地の背に手を当て、声を掛ければ少し寂しそうな顔が返ってきた。

もう少し、気の使える子だと思ったんだけど…いう大地に、自然とAと滝沢くんへの苛立ちが胸にこみ上げてきた。

けど、仕事中だ。
意識を切り替えてステージに立つ。

例えどんなに性格がクズであっても、相変わらず彼女のパフォーマンスは目をひくものがある。

公演が終わり目の前を歩くメンバーにお疲れ様と声をかけようとしたとき

「A！」と滝沢くんの切羽詰まったような大きな声が聞こえ、後ろを振り返ればAの身体がまるで糸の切れたあやつり人形のように崩れ落ちていくのが視界に入った。

頭を打ち付けるすんでのところで滝沢くんがスライディングする様にしてAの頭を抱え込んだ。

その後ろから女性がひとり走ってきたかと思うと何の反応も示さないAをきつく抱きしめた。

滝沢くんとふたりで何か言葉を交わしたかと思うと、滝沢くんは携帯を取り出し何処かに電話を始めた。

その間、女性はしっかりと自分の方へAを抱え直した。

「Aっ！大丈夫か！」

近くにいた大地が眉を下げてAに手を伸ばそうとしたとき、寸前で女性に払いのけられてしまった。