伸ばした手を (ページ14)

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No.14 ページ14

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この部屋の中は空調が効いていてすっごく心地よい。

重い瞼を閉じていればいつの間に寝ていてしまったらしく、誰かに頬を軽く叩かれているのに気づき目を開けた。

滝「A！」

『あれ、秀明くん、だ…』

滝「分かるか？」

『ん、それよりお仕事は？』

滝「今日はここに来るのが仕事。瑞希ちゃんがお前がここにいるって教えてくれた。」

『そ、か………わたしも、準備しないと。』

起き上がろうとすれば、肩を押されソファに戻されてしまった。

滝「良いから。お前なら袖で聞かされても対応出来るだろ。少しでも寝て体力温存しとけ、暴れるんだろ？」

軽く抑えているだけの秀明くんの手を払い除けるのですら億劫で、言われた通り重い瞼を閉じた。

頭を撫でてくれるこの手が心地よい。

薄まっていく意識のなか、頬に冷たい何かが落ちてきたような気がした。

目を覚まし時計をみれば眠っていたのは30分ほどだったらしい。

そこには瑞希ちゃんがいて、支えられながら身体を起こしてもらった。

瑞「Aちゃん、落ち着いてきいてね？」

やけに悲痛そうな顔をしている瑞希ちゃんに顔を傾げた

瑞「絡みの演出に変更があって、Aちゃんの相手役の子、リハ中に怪我しちゃったみたいで……代わりにあいつ、大地に変更だって」

『あー……背丈はピッタリだもんね、分かった大丈夫やるよ。仕事だもん。』

瑞「でも、あいつが原因なんでしょ？」

『それでもやるよ。それより瑞希ちゃんの方こそ大丈夫？』

瑞「私はもう大丈夫、大丈夫だから。」

ぎゅっと抱きついてきた瑞希ちゃんの背中に腕を回して抱きしめ返した。

息が詰まるほど抱きしめられた後、準備を済ませると瑞希ちゃんの肩を借りてバックステージに向かった