伸ばした手を (ページ2)

今日:3 hit、昨日:13 hit、合計:218,694 hit

No.2 ページ2

.

そのレッテルは1年経った今でも剥がれることはなく、おかげでレッスンの度に無視されるのは当たり前、そして冷ややかな視線を浴び続けるのである。

唯一の救いは従兄弟の働きもあってなのかスタッフさん側は真実を知っているってこと

更には、彼に私と同じ目に合わされたメイクさんがいた事も聞かされた。

まあ、そのせいもあってなのか

─ 媚びを売って仕事をもらってる ─

なんてものがオプションとしてついてしまったが

この業界それだけじゃやっていけないなんて貴方たちが1番よく知っているだろうに

「もー、誰かさんのせいで空気わるくなったんですけどー。」

「本当、最悪。」

メンバーである陽菜や茉莉の声を皮切りに悪意のある笑い声と陰口が増えフロアに響いていく

何も反応しなければいい、そうすれば自然と飽きてレッスンが始まるまでは外で時間を潰すだろう

イヤホンを付け外の音をシャットアウトした

心配そうにこちらを見つめる顔に大丈夫だよと軽く笑いかけて

ああ、マネージャーなんて泣きそうじゃないか。大丈夫だよ。

私はまだ戦える。

なんて強気でいるけど実際のところ、心は限界を迎えそうなのだろう。

上手く眠れない日の方が多いし、最近のお友達は精神安定剤と睡眠薬だ

体重もガクっと落ちてしまったし、今水着の仕事が舞いこもうものならお断りするしかないくらい貧相な体になってしまった。

洋服のサイズも変わったし、ベルトや腰ひもがないとズボンはまず履けない

痩せたい痩せたいと願ったけれど、こんな形で痩せたくは無かったぞ

それを隠すようにダボダボした服を着ることが増えたし、目の下の隈を隠さなければならないからメガネもアイテムに仲間入り。

寿命が短いとされる女性アイドルとしては有るまじき格好だけれど