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歩いている途中、スタッフに「お綺麗ですね」って言われるたびにAは照れくさそうに笑って、僕まで誇らしい気持ちになったけど。
歩を進める度に、“お別れ”が近づくような、妙な気持ちになって…
胸が苦しくなる。
.
綺麗な小道を歩いてたどり着いた、扉の前。
見るからに重そうな赤茶けた扉が、プレッシャーをかけてくるような気がする。
中からかすかに、司会の人？が話す声が聞こえる。
ドキドキという心臓の音がどんどん大きくなって耳の中で響く。
腕に絡められたAの手を軽く握ったら、僕の顔を見上げて笑う瞳と目が合った。
.
…これが、最後の仕事だ。
兄として。
唯一の家族として。
僕ができる、最後の仕事。
父さんと母さんの分まで妹を守らなきゃって…もがいてきた10年間。
僕のしたことは、Aの為になっていたのかな？
わからない。
でも…
絶望から始まった僕ら二人だけの時間に
確かに幸せはあったよね？
心から幸せだって思える瞬間は、たくさんあったよね？
父さんと母さんに、胸を張って「僕ら幸せだよ」って言えるよね？
だから、泣かない。
…泣かないぞ。
.
ギィ、と扉が開く。
.
.
.
…いや、ダメだ…。
1秒前に固めた決意が一瞬で崩れ落ちて
頬の筋肉が情けなく緩む。
そして、聴こえるオルガンの音が追い打ちをかけるように胸を締め付ける。
.
.
.
父さん、母さん。
A、綺麗でしょ？
天使みたいな、あの無邪気だった子が
こんなに綺麗になったんだよ。
二人の分、僕が背負って歩くから。
ちゃんと、見ててね？
多分涙でグッチャグチャになるけど…
最後まで僕らしく、Aを送り出すから。
…見ててよ。
.
「…まぁくん、行こ？」
.
横から聞こえた小さな声に頷いて、もう一度指先をギュッと握ったら
Aは少し潤んだ泣きそうな目をしながら
僕の大好きな向日葵みたいな笑顔を見せた。
.
…最後だ。
最後なんだ。
この大好きな笑顔はもう、僕の手を離れるから……
踏みしめて、歩こう。
.
.
.
目線を上げて、一歩踏み出したその視線の先には…
背筋を伸ばして僕らを真っすぐ見つめる、親友の姿があった。
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やっち(プロフ) - 凄く良かったです。ありがとうございました (5月9日 21時) (
レス) @page46 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
希梨(プロフ) - 一気読みしてました気づいたらそれと、手紙の所で案の定大号泣笑すんごいボロ泣きしてましたけど凄い兄弟愛に溢れた作品だなと思いました！これからも頑張って下さい。 (2019年9月30日 22時) (レス) id: d44dfa3d93 (このIDを非表示/違反報告)
ぽろ(プロフ) - ミサさん» ありがとうございます(´；ω；`)一気に読んで頂いたんですね(о´∀`о)少しの謎を残して終わってしまいました！笑 こちらこそ、お読み頂きありがとうございました！！ (2018年1月24日 11時) (レス) id: b5f3846dcd (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - 昨日からずーっと今まで読んでいました！！二宮くんが誰とどうなったのか！そこだけがものすごく気になってわくわくです！幸せなお話ありがとうございました！！ (2017年12月2日 2時) (レス) id: b742a9d158 (このIDを非表示/違反報告)
ぽろ(プロフ) - ひろねえさん» コメント嬉しいです！そうやって色んな気持ちを抱きました、と言っていただけるととても書き甲斐があったというか、とにかく嬉しくなります（ ; ; ）続編！出来たらいいなぁなんて思っております！未定ですが、いつか(*^_^*)ありがとうございます！ (2017年9月25日 23時) (レス) id: b5f3846dcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽろ
| 作成日時：2016年10月29日 1時
