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“妹”
私の“好き”は胸が詰まるような“恋”だったけれど、松本さんが私を特別って思ってくれているのは同じ種類の“好き”ではない。
そういう自覚はあった。
だったら。
切っても切れない家族みたいに
本当の妹みたいに
いつまでも可愛い存在でいたい
私の好きを伝えることで今が壊れてしまうなら
このままずっと片思いでもいい
そう、思っていた。
・・・・・
松「ぐあぁ、二日酔い…」
「(笑)松本さん飲んでましたもんね〜」
松「飲まされたの！！！」
「おんなじですぅ〜」
松「違ぇよ！！！」
あぁ気持ち悪ぃ、って言いながらガシガシ頭掻いてるけど
どうせ仕事は完璧なんだよ、この人。
わかってるもんね。
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昨日は早めの忘年会で、部内の人間が結構集まって大盛り上がりだった。
例によって松本さんは奥田さんと一緒にリーダーやら部長やらに引っ張り回され、部屋の中をあっち行ったりこっち行ったり。
結構飲まされたみたい。
私はこっちゃんと梅酒を飲みながらゆっくり話したり、
オフィスの中でもカリスマ的存在の女の先輩(女優さん並みの美人でお家柄もよくて仕事もできる神様みたいな人)と日本酒を飲みながら熱く語ったり…
要するに松本さんとは別々に会を楽しんだ。
それでもお開きになったら
「立花〜帰るよぉ〜しゅうでぇ〜ん」
っていつの間にか私の隣にいて。
ニコニコしながら私の肩なんか組んじゃって。
こんなことではドキドキしなくなっちゃってる私、すごい。
はいはい帰りましょ、って肩を組まれたまんま松本さんの荷物も持って、お疲れさまでぇーすって声をかけて駅のホームに向かう。
滑り込んできた電車のいつもの車両のいつもの場所に、隣同士座る。
腰を下ろして「はぁ飲んだぁ」って楽しそうに言ったと思ったら
コテン、って私の肩に頭を乗っけて、スースー寝始めたの。
その衝撃でパッと顔を上げたら目に入るのは、
窓に映り込んだ、松本さんと自分の姿。
傍から見たらカップルだよね、私たち…
前の私だったら心臓が口から飛び出そうになりながら慌ててた、きっと。
でも今は…
トクントクンっていう心臓の音が少しだけ大きくはなるけど…
あぁ幸せ、って思えるの。
ただ、本当は。
心のどこかで感じるほんのちょっとの切なさもいらない。
幸せだけで満たされたい。
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作者名：ぽろ
| 作成日時：2016年6月13日 21時
