選択肢 ページ42
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side 岩本
『SnowMan以外の選択肢って、何?』
佐久間と話しながら昔の出来事を思い出した。
あの日、Aの切なげな声にメンバー全員が振り向いた。
怒りに満ちた目線の先には翔太がいて、そんな翔太は呆れたように笑って「何キレてんだよ」って。
『別の選択肢とか、別の道とか、普通の人生とか、翔太くんが言ってること一つも分かんない。分かりたくない』
渡辺「分かりたくないって、現実見ろよ」
『何それ。翔太くんは諦めたってこと?』
その時期の翔太はこの仕事を辞めるか本気で悩んでた。
だからなのか、当時まだ大学生だったAに対してかなりお節介なことを言ってしまったようだった。
渡辺「諦めたとかじゃなくて、そういう選択もあるんじゃない?ってただそれだけじゃん」
『何それ。なんでメンバーにデビューできないって言われなきゃいけないの』
渡辺「そうとは言ってねぇじゃん」
『言ってる様なもんだよそれ』
俺らが迷っている時もAはただひたすら前だけしか見てなかった。
翔太はそれが怖かったんだと思う。
進み続けるAの道に超えられない壁が現れた時、そこで立ち尽くしてしまうんじゃないかって心配だったんだ。
Aが傷つくのを見ることを1番嫌がっていたのは翔太でもあったから。
『翔太くんだけじゃないよ。みんなも、どうせ無理だとか考えてるの知ってるから』
深澤「俺らは…」
『分かってる。このままじゃダメなことくらい』
翔太とAを見ることしかできなかった俺らを見て、困ったように笑ったA。
『それでも私にはこれしかないって、みんななら知ってくれてると思ってた』
羨ましすぎるくらいに、まだAの心は折れて無かった。
俺らのデビューを信じている人なんてきっとAくらいだった。
『意地でも辞める気ないから』
渡辺「…こんなギャンブルみたいなもんに付き合ってられっかよ」
『じゃあずっとそうしてたらいいじゃん』
渡辺「は?」
『本当はやめたくないくせに。一生うじうじしてろ!バカ!』
渡辺「バカってお前!おい!どこ行くんだよ!」
それから数日間、Aは音信不通になった。
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りーむ(プロフ) - ねぎとろさん» はじめまして。ありがとうございます!少し時間に余裕が出来たので更新頻度上げられたらなんて思ってますので今後の展開も楽しんで頂けると嬉しいです(^^) (2月25日 12時) (レス) id: 489a31cabe (このIDを非表示/違反報告)
りーむ(プロフ) - 目黒みなみさん» うわぁ泣かないで…。それだけ感情移入してくださっているなんて嬉しいです(T T) (2月25日 12時) (レス) id: 489a31cabe (このIDを非表示/違反報告)
りーむ(プロフ) - みぃ〜さん» はじめまして!作者も書きながら感情移入しすぎて胸が締め付けられております…(笑)ありがとうございます!励みになります(^^) (2月25日 12時) (レス) id: 489a31cabe (このIDを非表示/違反報告)
りーむ(プロフ) - mskmnm626さん» はじめまして!楽しんでいただけていて嬉しいです!ありがとうございます(^^) (2月25日 12時) (レス) id: 489a31cabe (このIDを非表示/違反報告)
ねぎとろ - 初めまして、お話を読んでいてハラハラドキドキが止まらず…あっという間に読み終わってました…忙しいかと思いますが応援しています!!頑張ってください!! (2月24日 3時) (レス) @page48 id: c72133fc5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りーむ | 作成日時:2023年11月8日 20時