物理講義室の恋 ( yb×in )

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「ひかる先生、」


「ん？」


「やぶ先生、しってる？」





この学校で彼のことを知らない人なんているわけ、ないと思うけど。






「どしたの、急に」


「....なんとなく、」


「.....そりゃ、しってるけど、」


「どんなひと？」





質問攻めの俺に怪訝な顔をしながらも、キーボードを叩く手を止めて考え込んでくれる。





「んー、薮、んー...」


「‥‥‥薮？」





先生同士って呼び捨てなの？そういうもの？







「あー、俺と薮、同い年....ってか、幼馴染、」


「っえ！？」




思いがけない事実に、開いた口が塞がらない。






「ほ、ほんと....？」


「本当だよ。で、薮に何か用なの？」





....用は、特にないんだけど。

幼馴染の光先生なら、薮先生のこといろいろ知ってるはず。聞いたら、教えてくれるかな。




....でも、人づてに聞くより、自分で直接聞きたい。






そんなことを考えて黙り込んでいると、コンコンとノックの音が響いたと同時に、ドアが開いた。






知らない人だったら目が合うと気まずいし、後ろを振り返らずに考え込んでいると、



「お、噂をすれば、薮じゃん」




......やぶ？今、やぶって言った？






「悪ぃ、コピー機貸して。職員室の調子悪くて」




振り返って確認する前に聞こえてきたのは、ずっと気になっていたひとの声。






「いいよ、貸して。やってくるわ」


「ん、頼む。.....伊野尾？」




やぶ先生から資料を受け取って、光先生はコピー機の方に行ってしまった。




空いた席に座った先生が、俺の顔を見て気づく。




....名前、覚えててくれた。彼は人気だから、一度しか会ったことのない俺なんかの名前も顔も既に忘れてしまっているかと思ったのに。






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