物理講義室の恋 ( yb×in )

お互いさまの感情 ページ34

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side. hk








いのちゃんって本当に、薮のことに関してはわかりやすい。



考えていることがすぐに顔に出てるんだよね。







今日も浮かない顔をしていつものように保健室に来たかと思えば

何かブツブツ呟いてベッドに潜り込んでしまった。







「いーのーちゃーん、なにしてんの」





放っておいたらそれはそれで拗ねるから優しく声を掛けると、毛布に頭までくるまっている彼がこっちを向く。






「.....薮って本当モテるよね」


「ん〜、そう？」


「モテるの！いっつも女子にも男子にも囲まれてて、物理講義室にもしょっちゅう人来るし！」


「そ、そうなんだ‥‥」




普段温厚ないのちゃんから珍しく怒号が飛ぶ。





‥‥いのちゃんはこう言ってるけど、俺はいのちゃんも大概だと思うけどなぁ。


たぶん本人が気付いてないだけで、相当モテるはずだ。‥女の子にも男にも。



中性的な顔立ちに少し高い特徴的な声、華奢すぎる白い身体。




確実に複数人から好意を寄せられているはずなのに、いのちゃん本人が気付いてないからこっちの方が厄介なんじゃないか。







「やぶ、人気者だし、俺なんかといていいのかなって、不安になる....」





色々考えを巡らせていると、涙声の混じったいのちゃんの声が聞こえて慌てて意識を戻す。




「ちょ、ちょっといのちゃん？そんなことないってば」


「だって、女の子にとられちゃったりしたらどうしよぉ.....」



勝てないもん、と本格的に泣きそうないのちゃん。





柔らかな頭を撫でて諭すように言ってみる。





「薮はいのちゃんのことちゃんと好きだから、心配することないよ」


「‥‥でも俺、ちねんくんみたいにちっちゃくもかわいくもないし」






確かに知念はかわいいけど、いのちゃんも同じくらいかわいいし綺麗なのに。





彼にとっては、薮と知念のことをかなり気にしているみたいだ。









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