”TRUST” 別館 -JJ- ４１

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撮影が始まった。


幼い頃を演じる子役の演技は、すでに撮り終えている。


再会から、恋がめばえる様を演じる。

そして、チョコの口移し・・・


チョコの端を咥えたオレが、彼女に近づく・・

両肩を持ち、彼女にチョコを咥えさすために顔を寄せる・・・


目を瞑って待っている彼女から、先ほどの控室での妖艶な様子はまるで消えていた。


でも、次の瞬間、オレの腰が彼女の両手によって引き寄せられ、チョコを咥えたオレの唇に彼女のそれが被さってきた。

チョコと彼女の舌がオレの口の中で溶け合ってる・・・


カットがかからない限り、拒否ることもできない。


話が違う！！

けど、押し返すことはできない・・・


数分に感じたけれど、きっと数秒のことだっただろう。

やっとかかったカットで、彼女を突き放す・・


　「セリ！！

監督！！」


監督「すまんね〜、ジェジュンくん。」


　「どういうことです？」


監「大人の味というテーマだから、少し濃厚にとセリくんに頼んだんだよ。」


　「は？

なんでオレに・・・」


セ「サプライズ感を出したかったっておっしゃってましたわ。」


サプ・・


　「あれでいいんですか！？

いくら大人の味でもあれはダメでしょ！！」


監「ん・・セリくん、少しやりすぎだな。」


撮った動画を見ながら監督が言った。


見てすぐにわかるだろ！

さっさと止(と)めろよ！！


監「いやぁ、美男美女の濃厚キスシーンにちょっと見入ってしまったよ、ごめんごめん。」


この監督・・・


監「じゃ、テイク２よろしく！！」


いくら大人の味と言っても、そう何回も食べたくない。

てか、台本ではオレが食べる内容ではないし！！


　「セリさんは、じっと待っててください。

それでいいんですよね？監督！」


監「そうだな・・

台本通りでいこう。」


あたりまえだろ！

なにがサプライズだ・・・


この監督も、もしかしたらセリに食われてたりして・・・

いやいや、オレまで噂を信じてどうする・・・

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