SJ☆アラカルト 1 ～あいはかわらず～ (ページ1)

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ドンへの憂鬱ページ1

「いい加減にしろ！キム・ヒチョル！！」

「うるせぇこの野郎！俺に指図すんじゃねえ！！！」

ガシャーン！

投げられた置き時計が壁に当たってバラバラになる。

ああ、また始まった。
こうなると、誰も止められないんだ。

本気で投げつけられた凶器をすんでのところで避けたトゥギヒョンは。全く怯まずに、雷神みたいに激しく怒るヒチョルヒョンをキッと睨みつけて声を張りあげる。

「いいか！そんな自分勝手は事務所が許しても、俺が許さない！」

「俺がやるって言ったらやるんだよ！」

「許さないと言ってるだろう！」

お互いが目を逸らさずに睨み合い、ふたりの距離がどんどん詰まる。トゥギヒョンがヒチョルヒョンの胸元を掴みかけたその時ー

「ああぁ、やめて、やめてよお～」

世にも情けない涙声がする。

ふたりがギョッとして真下を見下ろすと、頭を抱えたウニョクが、間に挟まるようにしてしゃがみ込んでいる。

トゥギヒョンが一瞬、ふっと緊張感を解いて手を離すと、その隙にヒチョルヒョンは脇に置いてある椅子を蹴飛ばして、怒鳴り散らしながら部屋に戻ってしまった。

チッ、と舌打ちをしたトゥギヒョンが、大きく息を吐いて振り返る。
慌てて椅子を直す僕たち。

数年前は、そんなことが日常茶飯事だった。
青年として輝いて血気盛んなヒョン達と、まだ若すぎて子どもじみた僕らー

それがキラキラした、魅力のひとつだったんだ。

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ああ、なのに。

今ちょうど、リーダーが戻って来て。
待望のステージを目前にしたそんな今。

ゆったりとソファに座りコーヒーを飲み、タブレットで動画を観ながら穏やかにくつろぐリーダーと。

その隣のダイニングテーブルで、次のステージの企画でも練っているのか、映画雑誌をパラパラとめくりながら何かをメモっているヒチョルヒョンが。

なんとも落ち着き払って、じじむさい、、、
いや、片方はおばさんくさい、というのか、、、

僕ら、永遠の少年であるのが売りだっんじゃないのお？

そんな姿を見て僕は、密かに不安を感じていた。
年を取るってこういうことなの？
お務め終えたら、みんなこんな風に大人になってしまうの？
それって若々しい魅力がなくなるってこと？

チャームポイントの垂れ目が、さらに下がって見えるくらい。
僕は元気がなかった。