君でなければ (ページ30)

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Begin to move 2(YOU) ページ30

YS「あの、A、さん。ひとつ聞きたいことがあるんだけど。さっき、どうして泣いてたの？」

お互い向かい合ってソファに座り、イェソンから話しかけられる。

A「それは、、、」

うーん、あなたの歌を聴いて泣いてたんです、なんて、恥ずかしくて言えない。
あ、歌手なんだから、むしろ喜ぶかな？いや、でも、、、

A「昔飼っていた犬のプリンが死んじゃったことを思い出して。」

やっぱり言えない。
それにこれも本当に思い出してたんだから、いいよね。
ああ、変な奴って思われそう。

YS「はっ、犬？そうか、犬好きなのか！
うちにも犬いるぞ、コミンとメロっていって、もーかわいいんだ！

いやいや、今は俺のことじゃない。

それは悲しかったな、うん、泣いて当然」

え。納得、しちゃった？

YS「だって悲しいよ。家族がいなくなるなんて、そんな辛いこと他にない。

もう平気？もっと泣く？
俺、ハンカチ返そうと思って持ってきたから、使っていいよ」

イェソンって。
すごく純粋な人なんだ。
だからあんなに優しい眼をして笑えるのね。

A「ふふっ。いえ、もう平気です。
せっかく涙拭いてもらったのに、また泣いたら申し訳ないわ」

YS「そう。
新しい家族は？あ、韓国に来たばかりだって聞いたな。
あれ、韓国語、すごくうまいよ？」

A「あ、それはですね、、、」

私のことなんて教えても仕方ないけど、と思いながら、学生時代のことや仕事のことを簡単に説明した。

YS「そう、じゃあ今は少しさみしいな」

ーそんなこと、あったばかりの人に言われたなんて、初めて。
考えないように、してたこと。

私の表情が曇ったのに気がついたのか、イェソンは慌てて話題を変えた。