君でなければ (ページ23)

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三度目の正直？１ページ23

いよいよカウントダウンが始まって。
俺は、弟ジョンジンの運転で、実家へ向かう途中だった。

ジョンジン「兄さん、店には寄る？」

YH「いや、やめとく。配属されて落ち着くまで、しばらくは人前に出ないほうがいいって止められた」

ジョンジン「それもそうだね。みんなお見送りだなんだって大騒ぎだもんね。
あ、でも僕ちょっと店に取りに行くものあるから、駐車場で待っててよ」

裏道でジョンジンが降りて、運転を代わって駅前の通りを左折して。
すぐ近くにあるいつもの地下駐車場に車を停めようと、いったん大通りに出る。

交差点で信号待ちをしていると、ふと向かい角のカフェに目が留まる。

ん？なんだ、こんな時間に酔っぱらいか？病人か？

道に面したテラス席で、テーブルに突っ伏する女と、その背中をさする女。
人だかりというほどではないが、道ゆく人に立ち止まり、二度見されたりしている。

ん、あの髪の色、流行りの重ためのセミロング。
どっかで見たー

あれ、別に普通の髪型なのになんで記憶にあるんだ。どこで見た？
雑誌、それとも映画？

ビーーーーー！！！

信号待ちなのについ考えこんでしまい、後ろからけたたましくクラクションを鳴らされる。

やべえ、あぶねえ。

慌てて発車させようとギアを入れ、前方を確認すると。
クラクションの音に驚いたさっきの女が顔を上げた。

あ、、、

何てこった。

また、会ったー

～～～～～～～～～～～～～～～～

駐車場に車を入れ、俺は珍しくまじめに考える。

あれは、泣いてたんだ。
女友達と一緒だったのか。

いや、よくあることだろ、女が泣くなんて。
しかも俺に全く関係ない。
なぐさめ役もちゃんといた。

けど。
実家に持ち帰る荷物の中には、ハンカチが一枚入っている。

RW「ヒョン！これ、僕が日本でもらったマホー石鹸で洗っておいたからね。
きれいにしたから。使ってあげなよ、ね」

そう言って、リョウクから渡されたのだ。
柔軟剤のいい香りがする。
あいつ本当に女らしいな。いや待て、男じゃねえか。

ーふっ。

笑みにならない笑みを浮かべて、俺は後部座席のトランクから、帽子やら何やらガサゴソと取り出す。

いったい何に導かれているのかわからないまま。

俺は車から降りて歩き出していた。