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ジョンハン side


あの日のことは今でも鮮明に思い出せる。

刺された母さんは俺にしか聞こえない声で、ごめんね。と謝っていた。


それは、何に対しての謝罪なのか。



俺をひとりにすることに対して?


それともこんな俺を産んでことに対して?



ずっと考えて、結局その答えはわからなかった。

そのことに対してだったのかもしれないし、もしかしたら違うことに対してだったのかもしれない。

それ以来そのことについて考えるのをやめた。



思い出す度に苦痛だったし、心が抉られる思いだったから。








「へへ。これからも頼りにしてますよ」







どくどくと、血の巡りを感じる。

熱くなる喉の奥に必死に泣かないように、顔が赤くなっているのがバレないように俺は下を向いた。


俺の欲しかった言葉を、Aはいとも簡単に言う。


能力なんて嫌いだ。
だけど、全部Aが言った通り。


この能力が無かったら、俺はみんなに会えなかったし、Aにも会えてなかった。

そう思うと、この能力の全てが悪い思い出だけじゃないんだと、気づく。


苦痛や悲哀、憎悪が占めていた複雑な心の内には、随分と前から幸福が入り混じっていたんだ。




「A、ありがとな…」



気づかせてくれてありがとう。

堪らず零した言葉にAは驚いたように目を瞬かせていたが、すぐに気の抜ける笑みを浮かべていた。




そんなAの笑い方が好きなんだよな。と、俺は柄にもなく思いながら、強くなる光に目を閉じた。









誰かを守る為なら俺は、







この先もずっと普通の人間として暮らせなくても、








仲間がいるその事実だけで、俺には生きる意味がある。

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yui(プロフ) - ルカさん» ありがとうございます!それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 伊狐さん» ありがとうございます!それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - いつも読ませていただいてます。とっても面白いです。パスワードを教えていただきたいです。今後も楽しみみしてます! (2020年5月22日 2時) (レス) id: 7b2d92024a (このIDを非表示/違反報告)
伊狐(プロフ) - この作品が大好きでお気に入りです!パスワード教えてください!これからも応援しています! (2020年5月22日 2時) (レス) id: c76b536d3e (このIDを非表示/違反報告)
レオナ(プロフ) - ジュンピ落ちがいいです!これからも頑張ってください! (2020年5月11日 23時) (レス) id: 4de243fabb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:yui | 作成日時:2020年3月30日 22時

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