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いない、いない、どこを探してもいない。
狭くはないけど、決して広いわけでもないこの空間のどこを探してもジョンハンさんの姿はどこにもない。



「と、なるとやっぱり外…?」



2階の窓から外を眺める。
さっきよりも地面が崩れており、だんだんと壊れていくこの世界は、まるでジョンハンさんの心そのもののように思えた。


外に行ったジスさんも心配だし、ジョンハンさんだってそうだし…。



「(せめても、この世界の崩壊をなんとかしなくちゃ…)」



ジョンハンさんがこの世界と同調しているのなら、彼自身をなんとかしないといけない。

だけど、肝心要のジョンハンさんの姿はどこにもなくて…。



「…同調…」



そこまで考え私は、まさか…。と口を閉ざす。
そして、1階のリビングルーム…そう、ずっと母親の隣で泣き続ける小さい頃のジョンハンさんの元まで戻ってきた。


「ジョンハン、さん」


膝をつき、彼の顔を覗き込む。

目があった。
確実に、彼は私を見た。


あぁ、やっぱり…そこにいたんですね。



「ジョンハンさん」



私は目の前のジョンハンさんの小さい身体を包み込んだ。
触れられるという事実に、予想が確信に変わった。

震える身体は私を拒絶するように身動ぐが、私は負けじとそれを離さない。



「ジョンハンさん、聞いてください」


『………』


「ジョンハンさんは何も悪くないんです。…どうかひとりで悲しまないでください。泣かないでください」


『………』



反応はなかった。
それでも私は、諦めずに声を掛け続ける。




「寂しかったら私が傍にいます。ずっと貴方の傍にいます…全てを背負わないで。そうしたら、きっと…っ、」



どんっと肩を押される。

力が思ったよりも強く、体勢を崩して背中から床に激突し、頭を軽く打った。

私の顔の両脇に手がつく。
それは子供のものではなく、驚いてジョンハンさんの姿を見てみると、小さい頃ではなく私の知っている今のジョンハンさんの姿に戻っていた。

だけど、その姿は映像がブレるように、子供の時に戻ったり、今の姿になったりで、不安定だった。



「俺は、」



まるで押し倒されたような形の私は、ジョンハンさんの顔を見つめる。

複雑な感情で歪んだジョンハンさんの顔。


綺麗な眉は、見たことがないぐらいに下がっていて、涙を溜め込み、強く噛み締めた唇は血が滲んでいて…。

初めて見るジョンハンさんの姿に、私は小さく息を吐いた。

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yui(プロフ) - ルカさん» ありがとうございます!それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 伊狐さん» ありがとうございます!それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - いつも読ませていただいてます。とっても面白いです。パスワードを教えていただきたいです。今後も楽しみみしてます! (2020年5月22日 2時) (レス) id: 7b2d92024a (このIDを非表示/違反報告)
伊狐(プロフ) - この作品が大好きでお気に入りです!パスワード教えてください!これからも応援しています! (2020年5月22日 2時) (レス) id: c76b536d3e (このIDを非表示/違反報告)
レオナ(プロフ) - ジュンピ落ちがいいです!これからも頑張ってください! (2020年5月11日 23時) (レス) id: 4de243fabb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:yui | 作成日時:2020年3月30日 22時

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