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次に目を開いた時、私は違う場所にいた。
辺りを見渡してもオンニはいなくて、それが悲しくて瞳を伏せる。
「…私は…私の出来ることを…」
呟きは、静かな空間に響くことなく、だけど私の胸の内にしっかりと刻まれる。
「…頑張るよ、オンニ」
ーーー
この記憶の世界は、一体誰の世界だろうか。
研究所のような場所に、また頭が痛くなりそうだった。
暫く歩いてから、とある部屋へと入る。
部屋に沢山の人がいて思わずギョッとしてしまった。
「あ…あれって」
見知らぬ白衣を着た人達の中にただ1人、見覚えのある顔が。
「ジスさん？」
間違いない。ジスさんだ。
ジスさんは、震える手で医療器具を握っていて、横になっている女性をただひたすら見つめていた。
そんなジスさんに、1人の男性が声を掛ける。
『ジス、やるんだ』
ひんやりと冷たさを感じる声色に、ジスさんはビクリと肩を震わせていた。
『博士…ですが…彼女は』
『ジス…人類の発展の為の犠牲だ。致し方ない。そもそも彼女自身がそれを望んでいる』
『……っ』
犠牲、礎、聞き飽きた言葉の数々に、私は顔を歪めた。
同じか。結局みんなこうして罪を重ねる。
だけどジスさんは少なくとも、後悔しているんだ。
こんな過去に。
「…馬鹿げてると思わない？」
後ろから聞こえてきた声に私は弾かれたように振り向く。
「ジス、さん」
疲れきった表情を浮かべ、壁に背中を預けて座っているジスさんに、私はホッとした。
「無事で良かった…ジスさん」
「気が狂う寸前だけどね…」
ジスさんは私を見ることなく、床を眺めていた。
「あれは…一体何をして」
「能力者についての研究だよ。そこに横たわっている人は僕のかつての仕事仲間…」
ね、馬鹿げてるでしょ？と笑うジスさんは両手で顔を覆った。
「毎日毎日誰かの頭を切り開いて、能力について研究して、仕事仲間である彼女さえも犠牲にして、そんなことをしてまで、研究をする意味ってなんだろうって…遅かった、気付くのが…全部…ぜんぶ」
「…ジスさん、ここから出ましょう？」
座る彼の手を引き、立ち上がらせようとするが、ジスさんはそんな私の手を振り払った。
「僕みたいな人間は、ずっとここにいるべきだ」
「何を言ってるんですか…」
「ここで死んで、罪を償わなくちゃいけない…」
憔悴しきったこんなジスさん、初めて見る。
罪を償う…私も同じなんだよなぁ。と小さく苦笑した。
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yui(プロフ) - ルカさん» ありがとうございます！それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (
レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 伊狐さん» ありがとうございます！それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - いつも読ませていただいてます。とっても面白いです。パスワードを教えていただきたいです。今後も楽しみみしてます! (2020年5月22日 2時) (レス) id: 7b2d92024a (このIDを非表示/違反報告)
伊狐(プロフ) - この作品が大好きでお気に入りです！パスワード教えてください！これからも応援しています！ (2020年5月22日 2時) (レス) id: c76b536d3e (このIDを非表示/違反報告)
レオナ(プロフ) - ジュンピ落ちがいいです！これからも頑張ってください！ (2020年5月11日 23時) (レス) id: 4de243fabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2020年3月30日 22時
