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『A、よく聞いて』
抱きしめられた身体が少し離れ、私の顔を覗くオンニは辛そうにしていた。
『今、世界が危険に瀕してる。"あの人"の行おうとしていること、それは世界の定義を覆す。そうなってしまったら、ただでさえアンバランスなこの世界はたちまち崩れてしまうの』
「世界、が？」
それを、何故…私に。
『貴方の力で、世界を救って』
「む、無理だよ…世界なんて、そんな」
スケールの大きさ。いや、それだけの話しじゃない。
どうやって？
戸惑う私の手を握り、オンニが私を見つめてくる。
『ううん、A。貴方になら出来る。違う、これは貴方にしか出来ないの』
オンニは瞳を揺らし、ぐっと何かを堪えるように握った私の手をこつんと額に当てた。
『…本当は私がやらなきゃいけないことだったのに、貴方に全てを押し付けることを許して』
「………」
あぁ、そっか…。
「(オンニも…辛いんだね)」
誰かに託すことしか出来ない。
優しいオンニだからこそ、それが苦しくて、悲しくて、辛い。
「オンニ…ねぇ、オンニ…」
痛いほどわかるよ。
その気持ち。
「私、大切な人達がいるこの世界を…守りたい」
もう、誰も失いたくない。
目を背けたくない。
逃げたくない。
『ごめんね…A』
震えるオンニの身体を今度は私が抱きしめる。
あれ、オンニってこんなに小さかったかな。
小さい頃は華奢だけどあんなに大きく感じたのに。
「(当然、か…)」
オンニの時間はあの時に止まってしまったのだから。
オンニは顔を上げると、私の手を引く。
『貴方の大切な仲間がこの世界にいる。その子達も、自分の辛い過去と直面しているの』
「…うん」
『貴方には私がいた。だけどその子達は1人でその過去と戦ってる。だから貴方がその子達を助けてあげて』
ね？と微笑むオンニは相変わらず悲しそうで、私はそんなオンニをぎゅっとまた抱きしめた。
傍にいたい。
離れたくない。
だけど、ダメ。
そろそろ時間だね。
「私は…私の出来ることをする…」
『…うん』
「仲間の為に、頑張る…」
『…うん』
「だから、見守っててよ、オンニ…」
泣きながら笑う私に、それでこそAね。とオンニもまた泣きながら笑っていた。
『A、私はずっと貴方の傍にいる。ずっと見守ってる』
「うん」
眩い光が私達を覆う。
あの時オンニが私を救ってくれたように、
私もみんなを救うよ。絶対に。
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yui(プロフ) - ルカさん» ありがとうございます！それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (
レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 伊狐さん» ありがとうございます！それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - いつも読ませていただいてます。とっても面白いです。パスワードを教えていただきたいです。今後も楽しみみしてます! (2020年5月22日 2時) (レス) id: 7b2d92024a (このIDを非表示/違反報告)
伊狐(プロフ) - この作品が大好きでお気に入りです！パスワード教えてください！これからも応援しています！ (2020年5月22日 2時) (レス) id: c76b536d3e (このIDを非表示/違反報告)
レオナ(プロフ) - ジュンピ落ちがいいです！これからも頑張ってください！ (2020年5月11日 23時) (レス) id: 4de243fabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2020年3月30日 22時
